2ndA‘s編
第十四話〜覚悟と意思〜
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海鳴市・海上
視界が狭くなってくる錯覚を覚える。
後から思えばかなり危ない状態になっていた事に気付くのだが、ライは文字通り身体を貫いた衝撃を受けてそんな事を考える余裕もなかった。
口を塞ぐように顔を掴まれているため、自分の胴体が今どうなっているのかを正確に把握することはできなかったが、身体が何らかの致命傷を受けた事は腹部から感じる熱と痛み、そして異物感から察することはできた。
痛みで擦り切れそうになる思考を働かせ、次に自分が取るべき行動をほぼ機械的に脳が身体にとらせはじめる。
喉元からせり上がってくる嘔吐感。それが何であるかよりも、今口を塞がれている時にそれが来るのが問題である。
(使用制限解除、MVSの使用を最優先)
対人戦では使用を禁じていた機能を思考処理で解凍しながら、ライはその腕に握ったものから伝わる振動を確かに感じる。
まだ腕の感覚がハッキリしていることに感謝しつつ、ライはその手に握った物を振るうことに一切の躊躇いを見せなかった。
耳障りな高周波の音が辺りに響く。それはMVS形態の蒼月で闇の書から生まれた“マネキン”の腕とライ自身を貫いた杭を断ち切った音であった。
「…!……!!ッ、ウェ、ゲハ!」
支えを無くし、真っ逆さまに海に落下して行くライは絶たれてなお自分の顔を掴んでいる腕を引き剥がし、喉元までせり上がってきていた液体を窒息から免れる為に吐き出した。
落下しながらでもはっきり見えたその液体の色は赤く、予想通りの色であった事にライはどこか虚しさを覚える。
「…………ああ、冷たそうだ」
そんな事を最後に呟き、ライはそのまま冬の海にダイブした。
海鳴市・市街上空
その一部始終を高町なのははモニターを通して見てしまっていた。
彼女はコンディションがある程度整うと、アースラから事件の終息の為に行動を開始した。当初は闇の書の騎士であるヴォルケンリッターに事情を聞くため、再び彼女たちと会おうとしたのだが自分が気絶している間にそういう段階ではなくなっていたらしいと彼女は説明される。
そして、闇の書の管制人格が出現し、このままでは海鳴市どころか地球そのものが消滅する可能性があることも教えられた。
その為、現場に急行し何とかして管制人格の鎮圧か若しくは説得を行おうとしたのだが、それよりも早くライ・ランペルージの行動の方が早かった。
彼が何を目的とし、そしてどうしてこの事件に関わるのか、なのは自身もよく知らない為最初は混乱するしかなかった。だが、それでも自分や親友であるフェイトを助けてくれた事のある彼を疑うことをしていなかった彼女は、大きな瓦礫が彼に直撃しそうになったのを見て思わず、彼を救おうとその瓦礫を打ち落とす。
それが功を奏
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