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死刑
第二章

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「これで一つの答えが出るのなら」
「いいというのですね」
「言ってみてくれ、実際にな」
「わかりました、それでは」
 松中は宮田の言葉に頷いた、そしてだった。
 実際に議案として出してみた、国会だけでなく国民全体を巻き込んで彼の出した案は議論の的となった、肯定派も否定派もだった。
 どちらもだ、彼の言葉に首を傾げさせて言うのだった。
「どうだろうな」
「一応死刑にしてるだろ」
 クローンを死刑にしているからとだ、肯定派は言う。
「だからいいんじゃないのか?」
「けれど本人は死刑にしていないよな」
 否定派も言う。
「じゃあいいか?」
「死刑にしてる?」
「していないんじゃないのか?」
「クローンは死刑になるからな」
「本人は死刑になっていないから」
 殆どの者が宮田と同じく首を横に振るのだった。
「だったらな」
「別にいいか?」
「この法案は」
「どうだろうな」
「悪くないか?」
「人道的には」 
 如何という話も出たがだ、しかしだった。
 何はともあれ松中は法案として国会にも提出した、このことに彼が所属している与党だけでなく野党の議員達も首を傾げさせたが。
 それでもだった、結果としてだった。
 衆議院でも僅差ではあるが可決されてだ、参議院でもだった。
 可決されてだ、このクローン死刑法案は実際に行われることとなった。そしてだった。
 死刑囚達のクローンが作られてだ、彼等がだった。
 死刑にされていった、それは一度ではなく。
 何度か行われた、その都度クローン達が絞首台にかけられて吊るされた。死刑囚本人は自分のクローンが死刑になったことを聞くだけだった。
「今朝御前が死んだぞ」
「俺がか」
「そうだ、死んだ」
 看守に告げられるのだった。クローンは何度も殺されるだけでなくその様子も死刑囚本人に常に話されることとなった。
 これが何度も繰り返された、すると。
 次第にだ、死刑囚本人達がだった。
 鬱病になっていきだ、そのうえで。
 次第に弱まってきてだ、遂には。
 欝状態が酷くなり死んでいった、殆どの死刑囚がそうなってきていた。
 この事態を見た宮田は考える顔になってだ、法案を考えて提出した松中に問うた。
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