第四章
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第四章
「そこはしっかりしてくれよ」
「ああ、わかってるさ」
こんな明るいやり取りでインタビューを終えた。そうしてそのまま意気揚々と球場を後にしようとする。しかしそこで、であった。
「おい、リチャード」
「ああ、じゃあまたな」
今球場を出ようとするチームのスタッフにも気さくに挨拶をする。
「今日はこれからエリーとパーティーだからな。飲むのは今度な」
「大変なんだよ、そのエリーがな」
「んっ、どうしたんだ?」
「いいか、落ち着いて聞けよ」
スタッフはこう前置きをしてから彼に告げてきたのだった。
「エリーがな。実はな」
「何っ!?」
その話を聞いてこれまでのうきうきとした気持ちは消えた。彼は家に帰らずに一直線に愛車を街の病院まで飛ばして。そうしてすぐにその中に入って問うのだった。
「おい、本当のことか?」
「ああ、リチャード」
「来てくれたのか」
彼のよく知っているチームのスタッフ達が出迎えてきた。そうしてすぐに病院の廊下で彼に対して声をかけたのである。
「もう話を聞いてると思うがな」
「君の奥さんは」
「おい、何でだよ」
その彼等に激昂した声をなげかけるのだった。
「何であいつがそんなよ」
「それは俺達に言われても」
「どうしようもない」
スタッフ達は彼の激昂に対して首を横に振るだけだった。
「それだけはだ」
「申し訳ないがな」
「そうか、そうだよな」
彼等のその言葉を耳にしてリチャードも冷静さを取り戻した。そうしてそのうえであらためて彼等に対して問うたのである。
「それでだけれどな」
「ああ」
「あいつはどうなったんだ?」
強張りきった顔で彼等に問うのだった。
「それであいつは。どうなったんだ?」
「とりあえず命に別状はない」
「それは安心してくれ」
これは保障する彼等だった。
「確かに運転している車とトラックは正面衝突したがな」
「そうした怪我は負わなかった」
「そうか」
「しかしだ」
「落ち着いて聞いてくれ」
しかし、なのだった。このことを話してそのうえで。あらためて彼に対して告げてきた。
「割れたガラスのせいで」
「奥さんの目は」
そういうことなのだった。ガラスの破片に傷付けられエリーの目は見えなくなろうとしていたのだ。リチャードにとっては絶望すべきことであった。
エリーは確かに命に別状はなかった。しかし病室のベッドの上で半身を起こしている彼女の目は包帯で覆われている。それで頭も巻いているのだった。
リチャードはそんな彼女を見て。いたたまれない顔で妻に問うのだった。
「なあエリー」
「リチャードね」
「ああ、俺さ」
苦々しい言葉であった。
「俺のことはわかるんだな」
「耳が聞こえるから」
だからだというの
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