第四章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
そのアキレウスはだ、一騎討ちを挑まれると。
「応じて来る」
「間違いなくな」
「では一騎討ちには持ち込める」
「それからだな」
「一騎討ちに使う馬車だ」
問題はそこだった、今度は。
「馬車は最も軽いものにしてだ」
「そしてだな」
「馬は最も速いものだ
「それにしよう」
「そしてだ」
そのうえでだった。
「アキレウスの背に回り込み」
「その踵を毒を塗った弓矢で射る」
「かなり難しいがな」
「これでアキレウスを倒せる」
「このやり方でな」
このことが話された、トロイアの中で。
トロイアは弓の名手パリスの弓に猛毒を塗りアキレウスに一騎討ちを挑み軽い馬車を速い馬に曳かせ彼の背に回り込み踵を射ることにした。
ここまで決めてだ、実際にだった。
パリスがだ、城壁の上からアキレウスを呼んだ。
「アキレウス殿おられるか!」
「私に用か」
すぐにだ、城を囲むギリシアの軍勢からアキレウスが出て来た。その威はまさにその場を支配している。
「そう言う貴殿はパリス殿だな」
「如何にも。このパリスアキレウス殿にお願いがある」
パリスは城壁の上からアキレウスに告げる。
「私と一騎討ちをしてもらいたい、馬車でな」
「ふむ、では今度は貴殿が私に倒されるのだな」
アキレウスは自信に満ちた笑みでこう言った。
「そうなるのだな」
「いや、倒されるのは貴殿だ」
パリスは必死の顔でアキレウスに返した。
「必ずそうなる」
「言うものだな。貴殿は弓の名手だが」
それでもだというのだ。
「私には弓矢は通じない」
「剣もだな」
「槍も呪いもな。神々の武器でもない限りは」
どうかと言うアキレウスだった。
「私は倒せぬ」
「そのことは知っている」
「知っていて私に挑んでか」
「そして勝つ」
そうしてみせるというのだ。
「これからな」
「わかった、ではな」
「一騎討ちに応じてくれるか」
「トロイアの諸君に言っておく」
やはり自信に満ちた笑みで言うアキレウスだった。
「パリス殿の墓も用意していろ」
「ではな」
パリスはアキレウスの言葉も受けてだった。
馬車、即ち戦車を用意させた。軽くしかも素早く小回りの利く馬達を用意させて。
そうしてアキレウスとの一騎討ちに入る、パリスは弓を持っているがアキレウスは持っていない。それは何故かというと。
「貴殿は弓も得意だった筈だが」
「必要のないものは持たない」
これがアキレウスの返答だった。
「弓矢も私には効かないからな」
「だからか」
「この槍でだ」
手にしているその槍でというのだ、その槍は右手にありそれでへくトールを指し示してそのうえでの言葉だった。
「貴殿を貫き倒す」
「そうするからか」
「そうだ、弓矢を使わ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ