19話:玄野計のΨ難
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口を開いた。
「そのまま、知ってる限りの情報を話して貰おう」
玄野計がこのような行動に出た理由はガンツスーツにあった。先ほどの攻防を思い出せばわかるように、男の脅威となるような装備はイングラムだけだ。ガンツスーツの防御力を破るほどの武器は持っていないようだし、ましてや玄野に組伏せられている状態では満足に動くことすら出来ないだろう。また、男がさっきから抵抗を試みている事はわかるが玄野の腕はびくともしない。
したがって、殺すなり気絶させる前にある程度情報交換を行うぐらいの余裕はある、と考えたのだ。
しかし。
それでも、彼が路上にいたことには変わりはない。そして純喫茶魔美から漏れる光を僅かに浴びていて夜の路上では比較的目立つような状態だった事も忘れるべきではなかった。
情報交換という隙の最中に、二人目の襲撃者が襲ってくる可能性を考慮しておくべきだった。
ゴシャアッ、と。
重く激しい衝撃が玄野計の頭を叩いた。
もちろんガンツスーツを着ていたためダメージはなかったが、あまりに高い攻撃力により玄野の体は吹っ飛ばされた。
少しの間浮かび上がった体が地面に着いても玄野は何が起こったのか理解できない。立ち上がって周りを見ようとするとまた衝撃が玄野を襲う。
玄野は再度吹っ飛び、また顔を上げると一瞬黒く、太い棒のような物が迫ってくるのが見えた。思わず目を瞑りやはりまた体が宙に浮く。
ちなみにこの間に、イングラムで襲ってきた七三分けの男、ムスカは逃走していた。
「‥‥ま〜だくたばらないっちゃか?」
と、襲撃者は一端攻撃をやめて口を開く。
玄野はようやく両足を地面に着けることができた。
初めて襲撃者の姿を見る。
肌の色は黒く、大きな麦わら帽を被って、スリーブレスの白シャツ、よれよれだぶだぶのズボン、両足にぼろぼろのサンダルを履き、丸いサングラスに首にかけた白いタオルの、まるで田舎の青年のような出で立ちだった。
ただ、その手には黒く、禍々しい釘バットが握られていた。
「愚神礼賛を三回もまともに喰らって傷ひとつつかないとは。お前何者―――」
と、そこまで言いかけた襲撃者は唐突に、文字どおりぶっ飛ばされた。
もう、隣のエリアにまで行ってしまったのではないかというぐらい。
気配を感じた玄野は後ろを振り返る。
そこには手を前につきだして、いかにも"何かをした" 感じを出している斉木楠雄の姿があった。
◆
‥‥まさか僕がゆっくり霊夢が壊れてないないか見ていた隙にあんなことが起こっていたとは。
本当に肝心な時に役に立たないな、超能力は。やはり録なモノじゃない。
「ありがとう、助かった」
玄野計が言う。
‥‥気にするな。さっきの詫びだ。
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