第三章
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第三章
「銀色なんだね」
「うん」
「絶対に似合うよ」
わかっているうえでまた言ってみせる。
「その銀色がね」
「有り難う。それじゃあ」
弥生もその気になる。その気のままで扉のノブに手をかける。引く形の大きな縦のドアノブだ。そこに手をかけたのだった。
「行こう」
「うん」
こうして二人は店の中に入る。まずはこれがはじまりだった。それからぬいぐるみショップに行って本屋に行って喫茶店でシロップをたっぷりとかけたパンケーキとミルクティーを食べてそれから並木道を二人で歩いた。クレープも買って食べた。全部彼女の好きなものだ。調べに調べてシュミレーションした結果のデートコースだ。彼はそれだけ熱心にかつ周到に考えていたのだ。大柄なのに実に細かい。
そのクレープを食べる場所は公園のベンチの上。二人仲良く並んで座って食べている。
「美味しいね」
「そうだね」
恵一は弥生の言葉に笑顔で頷く。
「私苺クリームのクレープが大好きなの」
「そうだったんだ」
「パンケーキも大好きよ」
それも言う。
「だから今日はとても満足よ。有り難う」
「いや、お礼なんていいよ」
恵一は照れ臭そうに笑ってそれに答える。答える時にふと彼女の首のところを見る。見ればそこにはペンダントがある。あのアクセサリーショップで買ったペンダントだ。銀色に小さく輝いて彼女の首を飾っている。
「そんなの」
「いえ、本当に感謝しているわ」
弥生はそう言われても彼に礼を述べるのだった。
「おかげで今日はとても楽しめたわ」
「そうなんだ」
「ええ。それにしても」
ここで弥生は言葉を一旦止めてきた。
「どうしたの?」
「時間なんてすぐ過ぎるのね」
不意にこう言ってきたのだった。
「本当に」
「そうだね」
恵一はここで特に考えることなく彼女のその言葉に頷いた。
「何かもう夜なんだって」
「ねえ岩尾君」
弥生はまた彼に不意に声をかけてきた。
「何?」
「今日は遅くてもいいわね」
「まあ多少はね」
一応親には遅くなるかもと言ってある。あくまでそう断っただけであるが。
「けれどそれがどうかしたの?」
「少し。寄りたいところがあるの」
弥生の方から誘ってきたのだった。
「寄りたいところ?」
「ええ。少しだけだけれど」
またこう断ってきた。
「それでもいいかしら」
「いいけれど。それは何処なの?」
「行けばわかるわ」
まだクレープを食べているが何故か雰囲気が少し違っているように思えた。だが恵一はそれは今彼女が俯いているせいかと考えた。やはり深くは考えなかった。
「行けばいいんだね」
「そう。そこにね」
静かにこう言うのだった。
「だから。いいかしら」
「うん、いいよ」
ここでも彼はあま
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