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青い春を生きる君たちへ
第十三話 同居人
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ラしながら、最後だけは本気出す。見てる人は最初から最後まで本気で走っていたように思うから、例え間に合わなくっても、そこまでメロスを責めるまいね。その点で、もっと恐ろしく大きな、世間の目の為にこそメロスは走っていたし、間に合う間に合わないは、どうでも良かったんだ。

メロスもセリヌンティウスも、世間の目を気にして、「美しい友情物語」の虚構を作り上げるために、最後まで本音に反して、「友を信じている」と言い続けた。ダサい臆病者だと思われない為に、意地を張り続けたんだ。自分の命を賭けてね。いや、もはや"賭け"てもいないね。どちらかは必ず死ぬ事になっていたんだから。賭けにもなっていない。命を削っていたんだね。

壮絶だねえ。滑稽だねぇ。でも、俺はそうやって作り上げられた虚構を、美しいものだと思うんだ。たまらなく好きなんだよ。

どうせ、世の中みんなが虚構で、本当なんて、無いのなら。命と引き換えにしてでも、美しい虚構を創り上げた方が、クリエイティビティ豊かで、美しいじゃないか?



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「いってぇ……」
「久々に食ろたわ。ホンマ、誰かさんのせいでのぉ」
「1年がやられてない事を、何で俺らがやられなアカンねん。ホンマにやってられへんわ。甘すぎるっちゅうねん」

室内練習場から出てきた二年生達の、顔や体の節々を押さえながら歩いているその足取りは重く、その怒りの視線は未だ室内練習場に残されている1人の少年に向いていた。彼らにしてみれば、その少年の考えは理解できなかった。その身を以って甲洋野球部の掟を理解したはずなのに、その掟に従って行動しようとはしない、その少年の思想・信条というものは。


「なぁ、小倉よ」


室内練習場の端っこで、顔にいくつも青痣を作ったまま正座している小倉に、三年生の主将が歩み寄ってきた。リズムスクワットの繰り返しによって疲弊した両足は正座することによって既に感覚がなくなっていた。身体中に出来た打撲傷は熱を持って痛み、小倉の意識も、ぼうっと霞んできていた。


「……お前なぁ、なんでそこまでアレをやらん事に拘るんや?お前もされてきた事やがな。当然、俺もされてきた事やで。まぁ、ええ思い出とちゃうけど、それでも今の甲洋をアレが作ってきたんとちゃうん?」
「……非合理的だから、自分ではやらないだけです。殴られて上手くなった事はありませんから」


何も見ていないような視線を、正面に向けたままで小倉は答えた。主将はため息をつきながら、その視界に割り込むようにして小倉の前にあぐらをかいた。


「まぁなぁ。殴られた事で上手くなりはせなんだよ、うん。でもな、お前がいつもと違う事やるやんか。ほいたらな、全てのミスが、
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