コヨミフェイル
009
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ようとしてことが、結局逆のことをしていたことに気付いてしまった。その不甲斐なさがさらに僕の平常心が掻き乱される。
振り返ってがむしゃらに駆け出そうとした。体を動かして何かしている気分になって考えることから逃避しようとしていると僕は気付いてない。
「やから、頭を冷やせ」
だが、一歩目を踏み出す前に影縫さんに襟を掴まれて、不様な恰好でこけた。
「離せっ」
「自惚れもそうやけど、無鉄砲も身を滅ぼすで、鬼畜なお兄やん。いや、身内も滅ぼすんか」
影縫さんの拘束から逃れようともがいていると、上から相変わらず涼し気に影縫さんは言った。
「もっとはよお着く方法を教えたるから、待てゆうてんねん」
「えっ」
もがくのをやめて見上げた。
「なあ、斧乃木」
そう言って影縫さんは得意げな笑みで斧乃木を見下ろした。
「うちは引き続き散らばったおたまじゃくしを潰しとく。せやからちょっとの間斧乃木を貸したるわ。ほんじゃあな」
影縫さんは飛び上がると、歩くように木の枝を渡って行った。それを見送る僕と忍と斧乃木ちゃん。
肝心の方法を聞いていないんだけど、と思っていると、
「鬼いちゃんとなんか話したくもないけど、お姉ちゃんの命令だから仕方ない」
これみよがしに斧乃木ちゃんが言った。口調にツンデレが微妙に含まれていることに少しの興奮を覚えたが、次の言葉がそんな興奮を吹き飛ばしてくれた。
「鬼いちゃん、僕にしがみついて」
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