コヨミフェイル
009
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鳥、聖鳥。
フェニックス。
ホトトギスの怪異、しでの鳥は人間に托卵する怪異、つまりは不死の鳥として子を孕んだ母親の体内に転生する怪異。
そして、僕の妹、阿良々木月火である。
しでの鳥のときは確か不死で不老ではなかったな。
なにかの因果を感じるのは気のせいではないだろう。
「こやつは人間に憑依する――いや、その稀薄な存在力故か、憑依をしていないと消えてしまう。それが、この怪異が黄泉蛙とは別に要身蛙、身を要める蛙というふざけた名前がついとる由縁じゃ。黄泉蛙は死期が近づくと、憑依した人間を操って他の人間を喰らう。そして、最後には憑依した人間を喰らうのじゃろうな。タイプで言うと、しでの鳥よりかはどっちかというと吸血鬼のようなタイプの不死の怪異じゃのう。ただ怪異としての地位は吸血鬼よりはるかに下じゃし、黄泉蛙は怪異には憑依できん。身のない怪異なぞに身を要めるような馬鹿な怪異はおらんじゃろう。まあ、できたとしても儂には憑依するどころか触れることすら叶わんわ」
最後は自慢話になったが、要するに怪異としてはそれほど強力ではないが、憑依できるということが重要なのだろう。
怪異にとって憑依できることはそれほど珍しいことではないように思えるが。
「いや、確かに珍しいことじゃないが、ありふれているというわけでもないぞ。お前様は憑依することができる幽霊と怪異を混同しているようじゃな。人間の感情や欲望から産まれたという点では同じじゃが、幽霊は人間から、怪異は人間の感情から産まれる点で大いに異なっておる。まあ、それはそれとしてじゃ」
と、忍は幽霊談義に脱線しかけた話を戻した。
「黄泉蛙は簡単には人間は喰えん。というよりかは人間を喰ってもそのまま霊的エネルギーにはならんのじゃな。人間と怪異が相容れないように人間を霊的エネルギーに変換することは容易ではないのじゃ。儂の場合、というよりかは吸血鬼の場合、喰らうことがエナジードレイン、エナジードレインが喰らうことじゃし、色ボケ猫は、エナジードレインが特性じゃから成立するのであって、黄泉蛙には憑依こそすれどそのような手段はない」
人間を霊的エネルギーに変換するしか手段がないと、忍は続けた。
確かに蛙にはドレイン、吸収のイメージは全くない。
「変換するには勿論段階が必要で時間がかかる。あのアロハ小僧いわく必要な時間は一日だったかのう。物質を霊的エネルギーに変換するのは一筋縄ではいかんのじゃな」
ならば助かる見込みは十分にあるだろう。
不死身の怪異を専門とするツーマンセルがいるのだからと、高をくくるのは愚の骨頂だが、肩の荷が降りたのは違いなかった。
「他に何か言っておったような気もするが………」
忍はうんうんと唸って必死に思い出そうとしているようなのだが、思い出せないのだろう。だか
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