戦う意思
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け取ったキリトは物陰に隠れ、息を潜める。
引き金に指を掛けたまま呼吸を整えるシノンの頭には出撃前に言われたシオンの言葉を思い出す。
『シノン』
『何?』
『戦闘が始まれば悠長に話していられない。だから今のうちに言っておく』
シオンはシノンに対してこんな言葉を投げ掛けた。
『戦況が硬直又は不利な状況を劇的に変える方々は二つある。それは・・・“自分を変えるか”、“その環境そのものを変えるか”だ』
『自分を変えるか、環境を変える・・・?』
『戦況が動かないということは双方が常に睨みあっていると言っていい。そんな状況が続けば勝機は我慢強い方に傾く。だが、それがどうしても当てはまらない時がある・・・』
『両方の力が互角の時・・・』
シノンの言葉に対し、シオンは頷く。
『そんな状況を劇的に変えるもの、それが個人が繰り出す“予想外の行動”とバトルフィールドが生む風や気候などの“環境の変化”であり、それが時に一発逆転の手札となる。勝負っていうのは、そういったものをいかに手中に納めるかで決まる。だが、それは容易にできることじゃない・・・』
『・・・・・』
『『今の状況を壊したくない』、『失敗したらどうしよう』、多くの者がそう思うだろうな。だけどな、それを理由に抵抗せずにやすやすと死ぬのか?』
シオンは拳を握りしめて表情を強ばらせた。
『俺は、嫌だね・・・。どうせ死ぬなら、その死ぬ一瞬まで足掻いて、足掻いて、足掻き続けてやるさ。シノン、お前にさっき言ったように戦えとは言わない。だけどもし、その心に少しでも“戦士”としての“生きたい”という気持ちがあるなら・・・』
シオンはシノンの目の前に拳を突き出して言った。
『“足掻け!”・・・心臓が止まるその一瞬までッ・・・!』
あの会話から今のこの状況まで、その言葉が彼女の頭の中を巡っていた。そしてその直後に言われた言葉も───
『シノン、もし今よりも強くなりたいなら、“今の自分を知り、それを受け入れろ”。自分の強さも弱さもな・・・』
「自分の強さも弱さも、か・・・」
シノンは息を大きく深呼吸するとスイッチを切り替える。
「いいわ、足掻いてやろうじゃない!」
シノンは再び集中、闇風をその目で捉えて引き金に指を掛けた。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
「彼処か!」
シオンは数十メートル先に死銃を視界に捉え、加速する。
『今だ、アリアッ!』
数百メートル離れた塔の最上階、そこにはスコープ越しに死銃を視界に捉える眼が一つ。
『見えたッ!』
しかし、それと同時に死銃
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