暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
クリスマス特別編 聖夜の約束
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だ」
友妃はわからないが、夏音の料理の腕前は中学生の調理実習レベルではある。だが最近は彩斗と一緒に料理することが多くなり、その腕も結構上がってきている。
彩斗も二人の手作りクッキーを口に運ぶ。その光景をじっと見ている友妃と夏音。
「うん、うまいな」
その言葉を聞いて二人はほっと胸をなでおろす。
こちらとしては夏音の料理の成長が見れて嬉しい限りです。
「それじゃあ、次はお待ちかねの凪沙と雪菜ちゃんと浅葱ちゃんからだよ」
自分の番を待ちわびていたように異常なまでにテンションが上がっている。よほど自身があるのだろうか。
凪沙たちは、隣の部屋へと移動し、数秒も経たぬうちに袋を手に持って戻ってきた。
すると浅葱が彩斗が座っている後ろまで来たと思うと持っていた袋をこちらへと差し出してくる。
「俺にか?」
「ここまで来て他に誰に渡すっていうのよ」
「それならありがたくいただかせてもらうよ」
手渡された袋の中に手を入れるとふわふわとした感触が伝わってくる。それを掴み上げて広げる。真っ赤な色をした約1.5メートルくらいの布状のものだ。
「なんだこれ? タオル?」
「失礼ね、マフラーよ!」
絃神島は、年中夏気候なためマフラーなどといった防寒具は無縁だ。なのにそれをプレゼントで選んだということは、嫌がらせなのだろうか。
「なんでマフラーなんだ?」
それはね、と友妃と夏音にプレゼントを渡している途中の凪沙が答える。
「絃神島っていつも暖かいからクリスマスって感じがしないから気分だけでもそれっぽくしようと思ったんだ。それにこれ全部凪沙たちの手作りなんだからね」
毛糸からマフラーまでするのに要する時間がどのくらいかは知らないが結構かかるはずだ。多分、編み物をしたことがある凪沙が初心者の雪菜と浅葱に教えながらやったということはかなり時間がかかったことだろう。
今一度、マフラーを見てみると所々ほつれており、浅葱が一生懸命作ったことが伝わってくる。
早速もらったばかりのマフラーを首に巻きつける。冷房がかなり効いてはいるがさすがに暑い。
「別に無理につけなくてもいいわよ」
「いや、ありがたく使わせてもらうよ」
「そ、そう。……ありがとね」
浅葱は頬を赤らめてうつむく。
よほどサンタの格好が恥ずかしいのだろうか。
するとここまで黙っていた男が口を開く。
「なぁ、凪沙ちゃん。俺の分は?」
ちゃっかりと雪菜は古城に渡しているが、矢瀬には誰も渡していない。
「ゴメンね、矢瀬っち」
凪沙が両手を合わせて申し訳なさそうに頭を下げる。
「実は矢瀬っちのマフラーだけ間に合わなかったの。だからこれで許して」
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