暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
クリスマス特別編 聖夜の約束
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「ほい。俺からはこれだ」

 矢瀬は古城に持ってきたビニール袋を渡して元の位置に腰掛ける。

「おい、なんだこれ」

 古城が袋に手を突っ込んで中身をテーブルの上に置いた。それは透明なカップの中に薄い黄色の固体と生クリームがとぐろを巻いている。

「プリンだけど」

「それはわかってんだよ。なんでコンビニのプリンなんだ」

 やっぱりか。どうりで見たことがあると思った。
 彩斗たちが住んでいるマンションの近くのコンビニで売っているプリンだと一目見ただけでわかった。
 夏音と一緒に暮らすようになってからは、彼女が甘いものが好きということでよくコンビニに行ってデザート類を買っているからだった。

「こいつ、プレゼント忘れたからあんたの家にくる前に慌てて買ってきたのよ」

 呆れたように浅葱は答える。

「全くこれだから矢瀬っちわ」

 そんなことを言いながらも凪沙はしっかりとビニール袋を古城から受け取り全員の前へと配っていく。
 魔力を使って作り出した物をあげてる古城と彩斗には矢瀬のことを言えたような立場ではないがな。

「それじゃあ、次は友妃ちゃんと夏音(カノ)ちゃんお願いね」

 どうやら矢瀬のプレゼントにはあまり触れずに次に行くようだ。それが懸命な判断であろう。
 友妃と夏音が持ってきていた大きめの紙袋から赤いリボンで結ばれた小さな紙の箱を取り出す。どこかそれはバレンタインデーのチョコという感じがした。

「ど、どうぞ」

 夏音が頬を赤らめながら箱を手渡してくれる。

「あ、どうもです」

 彼女が照れているのにつられて彩斗まで照れてきてしまう。
 そしてここでまじまじと見た夏音のサンタの衣装の破壊力は半端なものではなかった。赤い衣装の襟元とスカートの裾にふわふわとした白いラインが入っている。その衣装がまた夏音の綺麗な銀色の髪に合うのなんの。
 そしてなんといっても恥じらう姿が可愛すぎる。今すぐ抱きしめたいほどだ。
 そんなことしたらこの場の全員になにを言われるかわからないし、彩斗自身も吸血衝動が抑えられないだろう。
 彩斗は手渡された箱のリボンを解き、開ける。その中身はクッキーだ。

「ボクと夏音ちゃんで作ったんだ」

 彩斗がいるとクリスマスプレゼント用に作っているクッキーがバレてしまうので部屋に立ち入れなかったというわけだ。それならば、友妃の家で作ればよかったのではないだろうか。

「手作りクッキーもらうのなんて初めてだから嬉しいな。それにとってもおいしいよ。ありがとうね、友妃ちゃん、夏音(カノ)ちゃん」

「ほんとおいしいわね」

 凪沙と浅葱は絶賛している。

「とってもおいしいですね、先輩」

「そうだな。手作りとは思えないぐらい
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