暁 〜小説投稿サイト〜
ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
追憶の惨劇と契り篇
クリスマス特別編 聖夜の約束
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ちに無数の案が浮かんでは消え、浮かんでは消えを繰り返す。
 ───どうするどうするどうする?

「本当に大丈夫、彩斗君?」

「ああ、多分大丈夫だ」

 まだ喉に違和感が残ってはいるがそんなことなど気にしているような余裕はなかった。
 彩斗の頭の中にはバレたらまずいという考えしか頭になかったのだ。
 すると友妃が大きなため息を吐いたと思うと、背中を摩りながら顔を耳元まで近づけてくる。

「別に怒ったりしてないから。彩斗君と古城君なりに考えてくれたんでしょ」

 その囁きに彩斗は驚きを隠せなかった。振り返るとそこには唇が触れ合うまで残り数センチくらいの距離に友妃の顔があった。
 思わぬ距離感に彩斗の頬は激しく紅潮していく。

「……素直に嬉しいよ。ありがとね」

 友妃も頬を赤く染めながらも微笑む。その笑顔は全てを虜にするほどに可憐だった。そのまま時が止まったように彩斗と友妃は見つめ合っていた。

「あんたたちはいつまで見つめあってんのよ」

 浅葱の冷ややかな声によって止まっていた時間が突然動き出した。

「べ、別に見つめあってねぇよ!」

 若干裏返った声で否定はする。
 なんか変な空気が流れたせいで雪菜もネックレスのことを問い詰める気にはなっていなようだ。

「てか、俺の分はないのかよ」

 矢瀬が料理を口に運びながら訊いてくる。
 その問いを待っていましたと言わんばかりの笑みを浮かべて古城と目で合図しあう。

「もちろんお前にも用意してあるぞ」

 古城がソファーの後ろに隠していた最後の一つの紙袋を矢瀬に渡す。

「俺の分だけないと思ったじゃねぇか。……ん? なんだこりゃ?」

 紙袋の中には入っていたのは、ネックレスの鎖の部分のみ。いわゆるチェーンだ。
 本来ならば矢瀬にも何かをあげようという話になったのだが、“剛硬なる闘牛(ヘパイストス・バイソン)”によって生成した金属がなくなってしまったせいで臨時的にニーナがそこらへんのものから鎖だけを作ったというわけだ。

「これは鎖だ」

「それは見りゃわかるわ!」

「まぁまぁ、落ち着いてさ。次は矢瀬っちお願いね」

 叫ぶ矢瀬をなだめながらも凪沙がクリスマスパーティーを進行させる。

「まあ、いいけどよ」

 渋々ながらも納得した矢瀬が立ち上がり、キッチンへと向かっていく。クリスマスプレゼントをキッチンに置いてきているのだろうか。そういえば矢瀬が古城の家に時に真っ先にキッチンに現れて冷蔵庫に何かを入れていた。つまり矢瀬のプレゼントは食べものということだ。
 キッチンから戻ってきた彼は大きめのビニール袋を持っていた。てっきりデザートの定番である白い箱でも持ってくるかと思ったが違ったようだ。


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