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英雄は誰がために立つ
第1章 旧校舎のディアボロス〜停止教室のヴァンパイア
Life1 異世界にて
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世とも言うべき世界で死にかけていた所に、知り合いの天才魔術師の手によりこの世界に送られたのだ。
 しかしながら、その魔術師は肝心な処で迂闊さを発揮してしまう事が有り、士郎はもれなく転生と言う形でこの世界に来てしまったのだった。
 故に士郎だけは魔術師であったのだ。

 此処で2つ目が、人間では無い住人たちの扱う魔術である。
 彼らは体内に魔術回路とは別の魔力器官を有しているとだけしか士郎も知らないのだ。

 3つ目に、先の2つの中間だ。正式な人間独自で編み上げられた魔術基盤を用いた魔術回路が途絶えてしまった元魔術師たちが、過去の栄光にしがみ付こうとして悪魔たちの魔力器官を研究した上で獲得した魔術器官を有した魔術師と言う訳だ。

 そんな士郎はこの駒王学園内ではほとんど日常会話をする者が居なかった。ある意味ボッチともいえる。理由としてはこの士郎、運動能力抜群で成績もトップクラス、歳不相応なくらいの人格者でイケメンと来ていた。これでは女子生徒の大半は黄色い悲鳴歓声を上げながらも滅多に近寄らず、男子生徒の9割以上ほどからは嫉妬の対象だった。
 数少なくともしゃべるのは、悲しきことかな同い年で――――いや約17年間この世界で生きて来て唯一の男友達である柳道一成だ。彼は――――以下略だ。
 それ以外は女子なのだが、それが――――。

 「――――ハァイ、シロウ!今帰り?」

 と、にこやかに挨拶してくる駒王学園一の美少女であり幼き頃、とある理由により何度か知り合う事に成り、この学園ではほぼ毎日のように合うようになったクラスメイトで、実は悪魔陣営のグレモリー家次期当主のリアス・グレモリーだった。

 「ああ。リアスはオカルト研究部だったか?」
 「ええ、そうよ。それじゃあ、また明日ね?シロウ」

 そのまま軽い挨拶をして二人は別れた。
 しかしながら、リアスは殺気立つと言うよりも緊張していた。
 何故なら・・。

 (フェニックス家の三男坊との政略結婚の否応を賭けた、悪魔同士のレーティングゲームのようだから仕方ないか)

 何故士郎がそんな事を知り得ているかと言うと、昔に調査と言う理由から冥界に行った事が有り、そこでドジを踏んでしまいリアスの兄であるサーゼクス・ルシファーに助けられたのが始まりだった。
 そこから、彼はごくごく個人的に士郎とつながりを持ち今日まで至っているのだ(個人的つながり故に彼の女王(クイーン)たるグレイフィア・ルキグフスすらも、士郎の事は知らない)。

 (はぁー、それにしても憂鬱だなぁ。サーゼクスさんには、秘密裏にお世話に成ったりしてるから、もしかすれば今日のそのレーティングゲームに出なきゃいけないんだよな)

 そんな事を思いながら、士郎はため息をついていた。


 −Int
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