第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
七月二十七日:『星辰の日』T
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れじゃあ風紀委員の活動が終わってから伺います。ライスと、今月の家賃持参で」
「ふふ。ええ、待ってるわね」
にこりと微笑みを向けられ、此方も笑い返して別れの挨拶。敷地内の駐車スペースからスクーターに乗り、支部を目指す。最後に、ちらりと自室の窓を見る。無論、何も映ってなどいないが。
何故か、そこから……燃え盛るような三つの瞳に、見詰められている気がして。
「呵呵……」
朝の残響のような空耳を、間近に聞いたような気がした。
………………
…………
……
今日も今日で、先の『幻想御手事件』で人員の足りない警備員の小間使いの日々。下部組織の辛いところである。
愚痴を言っても仕方はない。それは分かる。人間には誰しも身の程があり、大した人間など一握りだと。それは分かる。そして、大変なのは得てして『そうでない人間』の方だと言う事も。
「…………」
ピッ、ピッと警笛を鳴らす。快晴、炎天下の交通整理。まさかの信号機の故障、まさかの十字路。主要な道路でなく、学生主体の学園都市なのが救いだが。
それでも、かなりの車の数。それを陽炎の立ち上る十字路の真ん中で、既に三時間。無論、キチンと水分は摂っているが。
「交代だぜ、ロリコン先輩……」
「おう……悪いな、おむすびくん」
へろへろと交代に来た巨漢、『巨乳』Tシャツの後輩と、へろへろ交代する。これで今日のノルマは終了、後は支部に寄ってから帰るだけだ。
「お疲れ様です、嚆矢先輩」
「お疲れ様ですの、先輩」
「ああ、サンキュー。飾利ちゃん、黒子ちゃん」
と、そこに二人の少女が立つ。花の髪飾りのセーラー服の飾利と、ツインテールにブレザーの黒子。これもやはり後輩、しかし間違いなく来てくれて嬉しい女の子の方。
飾利から渡された、キンキンに冷えた缶ジュースを一気に煽って。
「…………何というか……独特な」
『味だ』とは言わずに、銘柄を見る。『芋サイダー』なるドリンク。一体、どんな会社がこんな物を販売するなどという英断を下したのか。
「あはは、実はさっき試しに買ったんですけど……やっぱり、不味いですよね……」
「まだ、口の中が澱粉臭いですの……だから止めましょうと申しましたのに」
「ちょ、先にわたしの時にこのジュースの釦を押したの、白井さんじゃないで─────」
苦く笑う二人。じゃれあう女の子二人、微笑ましいものだ。だが、それよりもこれまで。
「う〜い〜は〜る〜〜〜っ!」
「へあっ?!?」
「とう!」
「ンぶふゥ!?!」
背後から忍び寄り、一瞬で飾利のスカートを巻き上げた少女。その長い黒髪が、しばしばさり
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