Interview10 イリス――共食いの名
「その子はミラだ!」
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かに語りかけた。
浮くことで水流の難を逃れたイリスが、ふわりとルドガーの傍らに戻ってきた。
「俺が壊す。いいな、イリス」
「ルドガーがそうしたいのであれば」
ルドガーは真鍮の時計を突き出した。白い歯車が展開し、ルドガーの体に入り込み、体を造り変える。ビズリーが言っていた精霊の「呪い」がルドガーを変貌させる。
「大精霊の力!? どうしてアルクノアがっ」
「応えなくてよくてよ。所詮は分史世界の住人なのだから」
槍を構える。骸殻を使った影響なのか、数分前に感じた、殺害への恐れは消え失せていた。
この槍で目の前の女の子を殺せば、この世界は砕け散る。
「待って、ルドガー、アルヴィン! その子はミラだ!」
ルドガーはジュードが止めたから、アルヴィンはミラの名を聞いたから、攻撃に転じようとしていた姿勢を崩した。
「ミラ、だと!? そのガキが!?」
「アルクノアの生き残りの父さ……ディラックさんとその子供を追って来たんだ。ミラの、マクスウェルの使命として」
「その子供、って」
ジュードが父と呼んだ人物ならば、ジュードに庇われているディラックが抱えた赤ん坊は、分史世界のジュードということになる。
「黙っていれば、ごちゃごちゃごちゃごちゃ。うるさいのよ! いいからそこをどきなさい!」
「ミラ」はジュードとディラックに掌を向けた。緑の魔法陣が浮かび上がり、小規模の竜巻が生じた。竜巻はジュードとディラックを襲い、いくつもの鋭い切り傷を負わせていてから、それぞれを逆方向に吹き飛ばした。
「やめろ!!」
ルドガーはがら空きの「ミラ」の背中に槍を突き出した。
しかし「ミラ」は背中に目でもあるように、もう片方の手に持っていた長剣で槍を受け止めた。
「その人が何したっていうんだ…っ、それに、赤ちゃんがいるんだぞ!?」
「だから何よ! アルクノア風情が知ったふうな口を利くな!」
幼女の腕力とは思えない威力でルドガーは吹き飛ばされた。
「全部お前たちのせいよ。アルクノアのせいで、姉さんはこんな姿になってしまった……っ」
「ミラ」が長剣を胸に抱いた。まさか、あの剣が姉だとでもいうのか。戦慄を禁じ得なかった。
怒りと嘆きに燃えるバラ色の目がディラックと赤ん坊に向けられる。
「例え赤ん坊であっても、エレンピオス人なら長じて黒匣を使うでしょう。そうなる前に殺す。黒匣とそれにまつわる物を消すのが、私と姉さんの使命!」
「やめてミラ!! 『僕』を殺さないで!!」
鮮血が飛び散った。肉を裂く音がことさら生々しく響いた。
「ミラ」が振り上げた長剣は、過たずまっすぐにディラックの胸
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