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渦巻く滄海 紅き空 【上】
八十 平穏来ず
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けれど残り三枚、どうしても割れない。

五枚ほど重なっている鏡。サスケと同じく目前の鏡にチャクラを注いでいる白もまた、動けないようだ。
片や防御に徹する白と、片や攻撃に徹するサスケ。膠着状態の中で沈黙が落ちる。

再びサスケが力を込めた。割れた鏡の破片がサスケの拳から血を滴らせる。
三枚目の鏡がぴしり、と罅割れた。
刹那。


「捜したよ、白」

白の鏡が一斉に割れる。同時に、霧散する【千鳥】。
突然掻き消えた術の名残か、飛び散った鏡の欠片が仄かな光を放つ。

サスケと白の間に降り立った彼の金の髪が鮮やかに揺れた。キラキラと輝く雷に反射して、白き羽織が青白く光る。

「……ナ、ルトくん……」
どこか哀愁に満ちた面差しで白が口ごもる。唇を噛み締める彼に、ナルトは苦笑で応えた。
そうして、呆然とした風情で立ち竦むサスケのほうへ顔を向ける。

「うちはイタチが死んだ」


あまりにも残酷な言葉を、サスケは霧の彼方から聞いた。
ナルトの衝撃的な一言はサスケから声だけでなく呼吸をも奪う。心臓までもが止まったかの如き錯覚に陥って、身動ぎ一つしないサスケに、ナルトは白が最も怖れた言葉を口にした。


「俺が殺したんだ」


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