八十 平穏来ず
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に捉えた。同時に飛んできた千本の姿が消える。
「ぐ…っ!?」
頬を掠める。白の登場と同じく、投擲された物とは真逆の方角から千本がサスケを襲った。
背後から飛んできた千本により、傷ついた頬を乱暴に拭う。滴る血に顔を顰め、サスケは印を結んだ。
「【火遁・豪火球の術】!!」
ごうっと白に向かって放たれる火の球。炎に白が包まれると共にサスケは眼を見開いた。
溶けている。
(…ッ、鏡か!?)
波の国で経験した白の攻撃方法をサスケは瞬時に思い出す。それと同時に枝を蹴れば、再び背後から白が襲い掛かった。動揺しつつも千本を回避し、白からサスケは距離を取る。
【火遁・豪火球の術】で溶けた鏡の破片がサスケの足下で砕けた。
『死の森』を自在に飛び交う白。
以前彼はナルトに頼まれ、中忍第二試験の巻物を集めた。その際、どのチームの誰が巻物を持っているかを把握する為、白は己の術である【魔境氷晶】の鏡を森中にばら撒いていたのである。
鏡といっても氷で出来ている故に、普段はただの水の雫だ。傍目には霜が降りているようにしか見えない。けれど血継限界である白が一度チャクラを込めれば、雫はたちまち鏡へと形作られる。
つまり先ほどから全く別方向からサスケを狙う攻撃の類いは、これらの鏡によるものだ。
鏡から鏡への高速移動を可能とする白。
誰が巻物を持っているかを判断する手段として術を用いていた当時とは違い、今回は何処にサスケがいるかを把握するすべとして【魔境氷晶】を活用しているのである。
思いも寄らぬ場所から飛んでくる攻撃。【写輪眼】を持っていなければとうに串刺しになっていただろう。白の怒涛の攻撃に辟易し、サスケはチッと舌打ちした。
(こうなったら一撃で仕留める…っ)
ぐっと襟元を大きく開く。バチバチ、と轟く雷鳴と共にサスケの腕から青白い光が迸った。
濃霧の中にて響き渡る、鳥の鳴き声。鏡に逃げ込む時間は与えない。一気に迫る。
「―――【千鳥】!!」
けれどサスケの雷は、白には届かなかった。
「なに…ッ!?」
必殺の一撃。それが白の眼前にそびえる鏡にて堰き止められている。
幾重にも重ねられて展開された数多の鏡。
貫通力を誇る一撃必殺の術であるにも拘らず、白の【魔境氷晶】が【千鳥】を上回ったのだ。
「くそ……っ」
カカシ直伝の大技である【千鳥】。高速の突き故その威力は絶大だがその一方、一度突いたら方向転換は難しい。力技で押し切るしかない。
膨大なチャクラを要する腕に更にチャクラを上乗せする。ぴしり、と罅が入る音が鳥の鳴き声に雑じって確かに聞こえた。瞬間、二枚の鏡が割れる。
流石に貫通力を誇るだけある。上忍の猿飛アスマでさえも三枚の鏡しか割れなかった【魔境氷晶】をサスケは二枚貫いた。
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