八十 平穏来ず
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る故、視界はすこぶる悪い。普通の人間ならばあっという間に息の根を止められているだろう。
それほど【霧隠れの術】の濃霧は深く、視力を奪われた者を尽く術中に陥れる。
「だが残念だったな。そいつはこの眼には効かねぇよ」
赤く光る瞳の中、廻り出す車輪。眼を開けるや否や【写輪眼】をサスケは発動した。
声がしたほうへ眼を凝らす。
突然襲い掛かった白にどういう経緯があるのかはわからない。けれどサスケが知る限りでは、白は波の国で死んだはずの人間だ。
イタチと邂逅した際、橋まで誘導されたにも拘らず、兄との和解の一件で彼が何故生きているのかという疑問はうやむやになってしまった。だが、こうして再び自分の前に現れたからには、木ノ葉の者ではない忍び、それも霧隠れの抜け忍を逃すわけにはいかない。
ダンゾウの火影就任を食い止められたと安堵した途端、訪れた厄介事。
思わず溜息を零したサスケだが、さっさと白を倒す為、気を取り直して霧を見渡した。
どんなに深い霧でも【写輪眼】の前では意味を成さない。
大木の太い幹に身を隠し、サスケは印を結ぼうと手を組みかけた。だがその瞬間、視界の端でキラリと光る物を捉え、首をめぐらす。カッ、と幹に何かが突き刺さった。
白の得物である千本。
寸前まで首があった箇所に刺さったソレにゾッとして、サスケはすぐさま身構えた。声がした方向とは真逆の方面から飛んできた千本を訝しむ。
現在サスケがいる場所は中忍第二試験の会場だった『死の森』。特にあまり人がおらず、アカデミー生徒も利用しない場所を考えた結果だ。
敵から身を潜める所が多く、尚且つ障害物が多い点を考えれば、森が最適だと判断したのである。
(…地の利は此方にある。落ち着け)
ドッドッ、と高鳴る心臓を落ち着かせるため、サスケは己に言い聞かせた。
片や木ノ葉の人間、片や他里の人間。自身に軍配があがるのは必然であり、相手が自分の位置を掴めたのはただの偶然。そうに決まっている。
「此処を選んだのは間違いでしたね…」
だがサスケの考えとは裏腹に、冷静な声で白は言い渡した。霧の中、再び告げられる死の宣告。
「この森の名の如く、死んでください」
そう宣言されるや否や、サスケは咄嗟に飛退いた。前方の木に飛び移り、寸前まで己がいた場所に視線を遣れば、其処には白がいた。
(どうやって俺の位置を…!?)
「恨んでくれて構いませんよ」
狼狽するサスケの思考を遮るように白が口を開いた。「君が憎むのはこの僕だ」と不可解な言葉を発すると共に、掲げていた千本を放つ。
白の攻撃を避けようとサスケは【写輪眼】を廻した。千本の軌道を読み、それらが刺さるであろう地点から離れる。
だが木の枝を蹴る直前、サスケは千本とは違う煌めきをその眼
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