八十 平穏来ず
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は一気に下降した。突然不機嫌になった主人に動揺する赤丸に構わず、公園内をずんずん進む。
昔馴染みの香りがふわりと鼻を擽った。
ブランコで足をぶらぶらさせている小柄な背中。髪ごと抱き込み、揺れる金に鼻を埋める。
途端に隣のブランコから放たれた怒気に、キバは彼女の髪に鼻を埋めたまま、秘かに笑った。
「よお。ナル・シカマル」
「キバ!!」
突然キバに後ろから抱きつかれ、ナルが素っ頓狂な声を上げた。
驚くナルの頭に顎を乗せ、キバはちらりと彼女の隣に視線を遣る。寸前までナルと話していたシカマルが不快げに顔を顰めているのを視界の端に捉え、キバはくっと口角を吊り上げた。
木ノ葉の里に綱手を連れ帰った自来也とナル。
火影候補として綱手を連れてきた自来也だが、既に『根』のダンゾウが有力補であり、挽回は不可能に近かった。
けれど綱手に勝負を仕掛けるというサスケの一見騒動染みた行いが、里の名族達の署名状受け取りに繋がる。
結果、木ノ葉の五代目火影として綱手は無事就任出来たのだ。
以上から影の功労者として挙げられるナルとサスケ。
だがどこか元気がないナルのことが気掛かりだったシカマルは、やや強引に彼女を公園へと連れ出した。そして言葉巧みにアマルの一件を聞き出していたところ、キバが割り込んできたのである。
「何やってたんだ?」
「お前には関係ないだろ、めんどくせー」
眉を顰めるシカマルの不機嫌そうな声音をよそに、ナルがキバの腕の中であっさり答える。
「ちょっとシカマルに相談に乗ってもらってたんだってばよ」
「ふぅ〜ん…」
半眼でキバがシカマルを見れば、逆に鋭く睨まれる。さっさとナルから離れろという視線にキバは小鼻をうごめかした。わざと得意気に鼻を鳴らせば、シカマルの眉間の皺が一層深くなる。
バチバチと火花を散らすキバとシカマル。
それに気づかず、唇を尖らせたナルの訴えで二人の秘かな諍いは一先ず幕を下ろしたのだった。
「っていうか、重いってばよ!キバ」
「……くそッ、」
蹴った傍から凍る木々の枝に、彼は思わず悪態を吐いた。身体に纏わりつく冷気を振り払うように駆ける。
木々の合間を縫う黒髪は、綱手が火影に就けた影の功労者の一人であるサスケ。
彼は現在、命の危機に晒されていた。
「逃げても無駄ですよ」
静かに語り掛けてくる追っ手。かつて波の国にて対峙した白の涼しげな声に、サスケは眉を顰めた。
すぐさま傍らの大木に身を潜め、周囲を警戒する。
両手で掬えそうなほど濃い霧が立ち込める中、彼は瞳を閉ざした。姿無き敵をわざと挑発する。
「【霧隠れの術】。幻術に掛かりづらくする為には確かに効果的だな」
既に白の術が発動してい
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