第5話 Pandora Mode 3
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「最悪だ………」
「いやいや、寧ろ最高だろ。」
突然の声に振り返り、拳を構える。
そこには、俺と同い年くらいの男子がいた。
「うわわっ??ちょっと待てよ、俺は敵とかじゃないって!」
「あ、ごめん。えっと……君は誰?」
両手を挙げて降参のポーズを取る彼に、一つ詫びてから、質問すると、彼は普通に答えてくれた。
「初めまして、隣の部屋の、アーサー・クリプトンだ。よろしくな。」
「ああ。俺は、アオイ・カズトだ。」
出された手を何の警戒もせずに取る。
実際、警戒など必要ではなかった。
彼は、この学園に来て、初めての常識人だったのである。
そして、お互いに、アーサー。カズトと名前で呼びあえるようになり、友達になった。
そして、そんなアーサーが、突然、こんなことを言い出したのだ。
「そう言えば、カズト。お前、サテライザー・エル・ブリジットに目つけられてるって、本当なのか?」
「いや、自分でナレーションしておいてアレだけど、本当に突然だな。」
思わずメタ発言しちまったよ。
「別に、あの人に恨まれたりはしても、怨まれたりはしてないと思うけど。」
「そんな字ズラだけの違いを指摘されてもなぁ。それを目つけられてるってことだろ?」
恨みと、怨み。
きっと、意味は同じだ。
だが、その二つは俺にとって大きな違いがある。
前者はまだマシな方だ。字で書いて、並べられた時、物騒なのは、騒々しく、慌ただしいのは、圧倒的に後者だ。
怨みの中には心がある。
他人の心は変えられないし、逆に、自分の心を伝えるのは難しい。
「まあ、目をつけられたかもしれないけど、俺はそんなに脅威とか、恐怖を感じたりはしてないけど…」
「おいおいカズト。あんな人の弟になったら、落第決定だぜ?その点俺の姉さんは美人だし、強いし。」
そこまで言われると、気になるのが男の子だ。
「へぇ。誰なんだよ、一体。」
「ん?聞きたいか?俺の姉さんはなぁ、」
その答えは、あまり聞きたくないものであった。
「この前のカーニバルで優勝した、ガネッサ・ローランド先輩だ!」
最悪である…………
後日談というか、その頃のサテライザーさんは、シャワーを浴びながら、今日会った少年のことを思い出していた。
男であるのに、ボルトウェポンを使い、曲がりなりにも、パンドラであるガネッサ・ローランドと、対等に渡り合っていた彼、アオイ・カズトのことだ。
だが、強さなど関係ない。
ただ一つ。彼女が気になっていたのは…
「誰かに触られたのに……あの感触が蘇ってこなかった……」
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