最恐最悪にして最高の師
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『ペルソナの高速召喚』、言うは易いが行うは並大抵のことではない。動きを止めずに召喚するというだけでも離れ業だというのに、絶えず襲ってくるのは、己を容易に殺害しうる雷鋼の剛拳である。しかも、それは透真が全力で回避に徹することで避けれる程度に手加減されているのだ。まさに、同時にできないはずのことを同時にやれと言われているようなものだ。
(だけど、できなきゃ殺される。諦めた瞬間にこの糞爺は俺を見捨てる。この爺にとって、弟子は俺である必要はないんだ。俺じゃなくても、自身の全てを伝えられるなら誰だろうとも構わないんだ。俺が死ねば、次を見つけてくるだけのことなんだ。だから、やるしかない!やるしかないんだ!)
透真は必死に回避しながらも、ペルソナの召喚を試みる。だが、全力で回避に専念しなければ避けれないレベルの攻撃なのだ。少しでも、そちらに気をやれば命を奪う剛拳が彼を襲う。当たる前に召喚できればと迫る拳を見ながら、必死に呼びかけるも、無慈悲な衝撃を持って断ち切られる。そこで集中はとぎれ、ペルソナも召喚はされないまま、地面を無様に転がる羽目になる。
「駄目じゃな、隙だらけじゃ。それでは召喚する前に殺されるぞ。戦場で敵が待ってくれると思っておるのか?」
その様子を見つめる雷鋼の目には、一片の慈悲もない。その言葉、声色もどこまでも冷酷で、卜部に投げかけたものとは対極の冷たさを感じさせる。ただの現状評価、それ以上でもそれ以下でもない。本当にそれだけであった。
「百も承知だ、糞爺!待っていろ、今に吠え面かかしてやるからな」
追撃を避ける為に意図的に長く転がり、ある程度の距離を離して立ち上がる。かつては、アバラを根こそぎ持ってかれたが、今ではインパクトの瞬間に自分から後ろに飛んでダメージを軽減できる程度にはなっていた。
「ふん、まだまだ元気そうじゃな。その様子なら、回復魔法はまだいらんな。では、行くぞ!」
言うが早いか、瞬時に距離を詰めて来る雷鋼。流石は自力で仙術を極めたという達人である。その技量は多少腕を上げた程度の透真など比べくもない。再び迫る剛拳を身を捩って、どうにかかわす。その通り過ぎる拳圧だけでも、透真は冷や汗が出るというのに、これで手加減しているというのだから恐れ入る。
(くそ、化け物爺め!だが、どうする?このままじゃ、ジリ貧だ。何回殺されるか分かったものじゃないぞ。トウヤならできるだろうが、だがそれじゃあ……。)
実のところ、トウヤなら透真は高速召喚できる自信がある。文字通り、自身でもあるトウヤなら、今までの訓練成果と併せて成功させられるだろう。
しかし、それでいいのかという疑問が透真にはあった。トウヤは言うまでもなく、透真にとって特別なペルソナである。自身のペルソナ能力の礎とな
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