第三章
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第三章
「彼女とは上手くいってるかね」
「ええ、まあ」
この家の所謂婆やさんの孫娘と付き合っているのだ。彼女は紗智子の姉貴分みたいな存在であり何かと彼女と仲がいいのだ。名前は里佳子という。落ち着いた感じの美人だ。紗智子とは全く違うタイプで流石はこの家の婆やさんの後継者と言える大人の女である。
「落ち着いたら結婚なんてことも考えたり何かしてます」
「えっ、島本さん結婚するんですか!?」
「里佳子さんと」
「まあそのつもりだけれど」
一応メイドの娘達にも答える。
「悪いかな、それって」
「悪いっていうかお似合いですよ」
「執事と婆やさんって組み合わせが如何にもお屋敷って感じで」
「そうなるんだ」
彼女達の言葉にまた妙に納得するようなしないような感じになる。どう述べていいのか彼は自分ではわかりかねていたのだ。
「いい組み合わせですよ」
「私達そっちも応援させてもらいますね」
「できればこっちだけを応援して欲しいんだけれどな」
これは彼の本音である。
「まあいいさ。とにかく今は」
「紗智子お嬢様だね」
また尾木さんが言葉を述べる。
「そうですね。それじゃあ」
「しかし。まああれだよ」
尾木さんは相変わらず競馬のゲームをしながら正人に言うのだった。
「お嬢様は決して悪い人じゃないからね」
「そうなんですか」
「そうだよ。だから安心していいよ」
「お嬢様を悪く言う人なんていませんよ」
「そうですよ」
佳澄達もまた紗智子を褒める。どうも正人だけが浮いてしまっていた。だがそれでも彼は言うのだった。
「それでも。少し様子を見てみるか」
そう決意した。そのうえであらためて紗智子の執事を務めるのだった。
「島本さん」
何かにつけて彼を呼びつけて使う。
「お茶を」
「クッキーを」
「新聞を」
「モーニングコールを」
「はい、只今」
「畏まりました、お嬢様」
その度に右に左に動き回る。屋敷の中で一番忙しい人間になっていた。
朝早くに起きて夜遅くに寝る。彼女がいない間は休めるが屋敷にいる間は本当に休みがない。彼はそんな中で紗智子の我儘に付き合っていたのだ。
それでも彼は文句一つ言わずに忠実に紗智子に尽くし続ける。執事という仕事への責務もあるがそれ以上に何とか紗智子の我儘の理由を知りたかったからだ。しかしそれにはかなりの忍耐力が必要で彼はそれと必死に戦っていた。
その戦いが続く中で。彼は疲弊しきった顔で控え室で休んでいた。そこにはメイドの佳澄がいて尾木さんがいた。ついでに佳澄の相方のメイドの娘の茜もいた。だが彼女達は血色のいい顔でお茶やゲームを楽しんでいた。格差社会とはここにもあるのかといった感じの見事なコントラストであった。
「大分お疲れのようですね」
「否定できな
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