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お嬢様と執事
第三章
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いね」
 小柄でショートヘアの茜にこう答えた。
「正直。最近あまり寝てないよ」
「それはお嬢様も同じでは?」
「どうだか」
 それには思いきり疑問符をつけて返す。
「夜遅くまで起きられて朝早くに起きられているけれどね」
「じゃあやっぱり」
「何でそんな生活をされるか意味がわからないよ」
 こうぼやくのであった。
「だってさ。学生さんなのにどうして」
「どうしてでしょうね」
「そういえば最近お嬢様」
「何かあったの?」
 佳澄の言葉に顔を上げて問うた。
「よかったら教えて」
「その里佳子さんとしょっちゅうお話されていますよ」
「彼女と」
「ええ。何かよく」
「へえ、そうなんだ」
 茜はそれを聞いて今はじめて知ったような声をあげた。
「何でだろうね」
「ああ、そうか」
 だが尾木さんはその話を聞いて納得した顔になった。相変わらずゲームはしたままであるが。そのゲームもいつもと同じ競馬のゲームである。
「成程な、そうか」
「成程って」
 正人は今度は納得した顔になりながらゲームを続けているその尾木さんに問うた。

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