最後のページを閉じたなら
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それから、数日。
今日も今日とてお祭り騒ぎの妖精の尻尾の一角、乱闘の被害が届かない距離にあるテーブルで、ルーシィはいつものように喧嘩するナツとグレイを眺めていた。
「ホント、よく飽きないわよねえ…あの2人」
「仲良しだからね」
呆れたように呟くルーシィの向かい側には、当然のようにルーがいる。
最近では、この2人が一緒にいない事の方が珍しい。「付き合っているんじゃないか」なんて噂も当然飛び交うが、その度にルーは「まだ付き合ってないよー」とニコニコ笑顔で返し「…まだ、だけどね」と悪戯っぽく付け加えるのだ。
呆れるルーシィを見つめるルーは、ちらりとルーシィの左肩に目を向ける。ナイフによって傷ついたそこは傷も塞がり、跡も残っていない。その事実にほっとしつつ、グラスの中のオレンジジュースをストローでかき混ぜた。
「にしても早いねー、何かもうあれから1年経っちゃった気がするよう」
「まだ数日程度だけどね。でもまあ、それはあたしもかな」
1週間にも満たない数日の中で、いろんな事があった。
1番大きかったのは、やはりアルカの事だろう―――とルーシィは思う。ギルドに帰ってすぐ質問攻めにあっていたアルカを思い出して、苦笑する。
「どういう事だよアルカ!」
「何が?」
帰って来るなり叫んだナツに、きょとんとした表情のアルカが振り返った。ぱちりと瞬きを繰り返すアルカに、ビシッと指を突き付けてナツは続ける。
「お前、あん時ミラの中から出てきただろ!?」
「…あー」
「あ―――!そういえばそんな事あったかも!」
「忘れてたの!?」
ナツの問いにギルドが騒然となった。ミラの中から出てきたってどういう事だ?―――と全員が思い始めると同時に、ガシガシと頭を掻きながらアルカが困ったように片目を閉じる。その姿も様になってしまうのだから、流石は週刊ソーサラーの“彼氏にしたい魔導士ランキング”上位ランカーである。
「つってもなあ…オレだって全部説明出来る訳じゃねえし、うー…」
どうすっかなあ、とアルカは首を傾げた。
しばらくそのまま悩んでいたが、ようやく考えがまとまったのか口を開く。
「とりあえず知ってる範囲で話すよ。信じがたい話だろうが、まあ聞いてくれ」
そう前置きして、アルカは自分の知っている範囲で話し始めたのだった。
「あの時は最初、結構混乱したよね〜」
楽しそうに笑うルーも、混乱した1人だった。
「え!?どういう事!?ちょっと待って理解出来ないよ脳内爆発だよ!?」と誰よりも慌て混乱していた姿は、失礼ながら結構面白かった。
先に知らされていたミラは唯一何も言わなかったが、意外だったのはティアの反応だ。
「で
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