最後のページを閉じたなら
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るんだっけ?」
「容赦なく斬り捨ててるわね…」
どうでもいいと言わんばかりに傘下ギルドの情報を喋るパラゴーネの姿を思い浮かべて、笑い合う。きっと無表情で、淡々とした調子で話しているのだろう。
「早く出て来ないとグレイも元気なくなっちゃうしね。本人は否定してるけど、パラゴーネがいなくなってからちょっと元気ない気がするんだあ」
「オレが何だって?」
「うわあ!?」
ストローでグラスの中身をかき混ぜながら呟いたルーの背後から、白いコートを纏うグレイが声を掛ける。文字通り跳び上がったルーは「心臓に悪いよう!寿命が縮むじゃん!」と喚くが、それを無視してグレイはルーの隣に腰掛けた。
「パラゴーネの話してたの。で、ルーがパラゴーネがいなくなってからアンタの元気がないって」
「はあ?大して変わんねーだろ」
「そんな事ないよう!だって前はもうちょっと長くナツとモメてたもん!」
「それは関係ねえよ。ティアがナツ引っ張り出しただけだ」
「え?」
ほら、とつい先ほどまで自分達が喧嘩していた場所を指さすグレイ。確かにそこには喧嘩相手のナツの姿はなく、ギルド中を見回してもあのいろんな意味で目立つ姿はない。
「ホントだ、いない」
「だろ?突然入ってきたと思ったら“戯れてるトコ悪いけど、コイツ借りるから”とか言って引っ張って行ったんだよ。文句言われようが睨みで黙らせて、な」
「さっすがティア!目の力だけで人を黙らせるなんて凄いよう!僕も見習わなきゃ!」
「無理だと思うぞ」
「うん」
「酷い!」
小さくガッツポーズをして意気込むルーには悪いが、無理だろう。垂れたルーの目はどんなに力を込めて睨んでも“可愛らしい”の域を出ない。普段の幼さを感じる言動を知っていれば、尚更だ。
「うわああああんグレイの馬鹿ああああああ!」
「オレだけかよ!」
「だって僕ルーシィの事馬鹿なんて言えないもん!アルカ〜!グレイが僕の可能性を否定するようー!」
「わっ、バカ!アルカ巻き込むんじゃねえ!アイツ今ミラちゃんといい感じの空気だろ!察してやれよ!」
「空気クラッシャーを侮るなかれ、だよ!」
……なんて言い合いを眺めるルーシィは、呆れたように肩を竦めた。
「遺品整理だあ?」
「そう。そろそろ手を付けないとマズいと思って」
行き先も知らされず引っ張られてきたナツは、ティアの言葉に眉を顰めた。
目の前に立つ一軒家は、今回の件があった後に「一人暮らしを始めようと思うの」と突然言い出したティアが現在住む家だ。
白い壁に焦げ茶色の屋根。真新しいその家の門を開くと、ティアはくるりとナツの方を向く。
「早く入って。蹴り飛ばされて入るのが嫌ならね」
1人暮らしを始めようと思うの。
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