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Element Magic Trinity
最後のページを閉じたなら
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と思い出したように付け加える。

「オレが捕まえた訳じゃねえ、コイツは自分から逮捕しろって言ってきた。つまり自首だ。書類にもそう書いとけよ」
「え?」
「は?」

投げ出すようにそう言って、クロノは欠伸を噛み殺した。驚く男性隊員とパラゴーネの反応に戸惑ったのか、クロノは首を傾げつつもう1度口を開く。

「だから、自首だって言ったんだよ。評議院に直接来た訳じゃねえが、オレが捕まえた訳でもない。てかオレは言われるまでコイツが闇ギルドの奴だって気づかなかったしな。ちゃんと書類に自首って書いとけよ、ラージュ」
「はあ…って、隊長!その書類を書くのは隊長です!」
「あれ、そうだっけ?」

ラージュと呼ばれた男性隊員に「そういやそうだったかもなー」なんて呑気に返して、クロノはナツ達に背を向ける。
まさか自首扱いされるとは思っていなかったらしいパラゴーネはしばらく呆然としていたが、ずしりと手首に感じる重さに意識を引っ張られた。顔を向ければ、見るからに重そうな手錠が付けられている。

「んじゃ、来てもらおうか」
「…了承した」

トン、と軽くパラゴーネの肩を叩いたクロノに頷き、パラゴーネは足を進めていく。
見た目よりかは軽く感じる手錠の重さに少し驚いていると、クロノの右手に淡い光が灯っているのに気づいた。見上げると、ニヤッと笑みを浮かべたクロノが「腕が折れそうだからな」と言い訳のように呟く。

「パラゴーネ!」

大声で名前を呼ばれた。
首を傾げながら振り返ると、魔力の少なさでふらつきそうなルーがこちらを見ている。支えようとするルーシィに「大丈夫」と返して、ルーは少し考えてから叫んだ。

「えっと…いろいろありがとう!全部終わったら、その……ギルドで、待ってるから!」

その言葉に、パラゴーネは大きく目を見開く。その当時はギルドにいなかったとはいえ、血塗れの欲望(ブラッティデザイア)は彼にとっては何よりも許せない存在であるはずだ。だから、信じてもらえる事だけでも驚きだった。こんな、礼まで言われるとは思っていなかった。
言いたい事を言い切ったらしいルーは、まだこちらを見つめている。その目を見返したパラゴーネは、ふっと口元を緩ませた。

「再会を必ず。……ありがとう」

紅蓮の瞳を細めたパラゴーネは、それだけ言って背を向ける。
馬車の中に消えていく小さい背中を、ナツ達は何も言わずに見送っていた。










「でも良かったよね、クロノが担当で。自首扱いの事とかも減刑の対象らしいし、いろいろ情報提供してるから割と早く出て来られると思うってクロノが言ってたじゃない」
「みたいだね。前の立場とかここまで育ててもらった恩とかで言いにくい事もあるっぽいけど、傘下ギルドの情報は次々に出して
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