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Element Magic Trinity
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ラゴーネは妖精の尻尾(フェアリーテイル)に直接行き、危害だって加えたのだ。
そんな自分が味方であると、仲間であると見てもらえる訳がない。

(……だったら)

けれど、それに怯えて逃げ込んでばかりではいられない。仲間達にどう説明しようかと頭を捻らせるグレイに目を向け、それだけでパラゴーネを勇気が満たす。
勝手に師匠と呼ばれ慕われているだけのグレイが一生懸命に考えてくれているのが嬉しくて、緩みそうな口元をどうにか引き締めたパラゴーネは、真っ直ぐに彼の下へと足を進めた。

「クロノヴァイス殿」
「ん?」

青い目を向けられ、やや怯みそうになるのを堪える。カトレーンの青い瞳はそれだけで迫力があるようで、シャロンの目を見て話せるようになるまで相当の時間がかかった。
今すぐにでも逃げ出してしまいたい衝動を無理矢理抑え込み、パラゴーネは両腕をクロノへと伸ばす。きょとんとした表情の彼に、パラゴーネは迷う事なく言い放った。

「私を、逮捕してほしい」







その一言に、衝撃が走る。
彼女の事情を知るナツ達は逮捕されるという事実に目を見開き、それ以外のメンバーは闇ギルドの人間が自分から逮捕を申し出た事に驚き、唯一直接的な面識のないティアは周りの様子に首を傾げた。

「は…?つか、お前誰?」
「私はパラゴーネ。血塗れの欲望(ブラッティデザイア)ギルドマスター直属部隊の“天秤宮”だ」
「!」

最初は戸惑っていたクロノの表情が、パラゴーネの言葉で一気に強張る。それもそうだろう、目の前にいるのは闇ギルド――――それも、バラム同盟の一角を担う程のギルドでマスターの直属部隊を務めるような強者なのだから。
真っ直ぐに自分を見つめる小柄な少女の赤い目から逃れるように顔を上げる。クロノの立場上、逮捕しない訳にはいかない。あと少し待てば第一強行検束部隊も、それ以外の部隊だって来るだろう。
けれど、何かを言いたそうに、それでも何を言っていいのか解らないような様子の仲間達を見ると、少しばかり罪悪感に似た何かが湧き上がるのだ。
そんなクロノの葛藤に気づいているのかいないのか、パラゴーネは振り返って頭を下げる。

「今般の事局は謝罪する。この頻数の怠状では宥恕(ゆうじょ)は不可能だと思考するが…宥恕してほしい」

並べられる複雑な単語に、揃いも揃って首を傾げる。通じていないと解ったようで、パラゴーネは今のところ唯一話が通じるグレイをじっと見つめた。
視線に気づいたグレイは、少し考えてから口を開く。

「…今回の事は謝る。この程度の謝罪では許してもらえないと思うが、許してほしい……で、合ってるか?」
「肯定する。流石は師匠、私の言辞が通じるのだな。喜悦だ」

グレイの問いに、パラゴーネはパッと表情を明るくさせ
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