最後のページを閉じたなら
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シャロン様と戦っている際、私は庭師に頼まれて肥料を取りに来ていたので、この倉庫の中にいたんです。外に出ようにも危ないので、戦いが終わるまで隠れていようと」
「賢い判断だな…で?」
「その時、声がしたんです。女性の声でした」
「声?」
疑問に思いながら、耳を澄ませる。が、彼女の言う“女性の声”は聞こえない。
「聞き間違いとかじゃなくて、か?」
「そう尋ねられると答えにくいのですが……確かに、聞こえました。“会いたい。会いたいよ”と呟く声でした」
ますます解らない。首を傾げていると、アロマが倉庫の中央付近に歩いていき、置いてあった樽を退かし始めた。
「お、おいっ」
これにはクロノも慌てる。
使用人達はこの土地の情報提供の為に呼ばれたのであって、捜索に直接関わる事は認められていない。もちろん、置いてあるものに手を出すのも禁止だ。
だからクロノは慌てているのだが、アロマはそんな事気にせず床を見つめている。
「聞いてんのかって……」
これでは怒られるのはクロノだ。上司の長い説教を思い浮かべてうんざりしながら声を掛け――――気づく。
「どうやら、声の主はここにいるようです」
そう呟くアロマ。
その視線の先には、取っ手がついた扉があった。取っ手を引くと、下へと進む階段が現れる。
「……マジかよ」
まさかの事態に、クロノは無意識に呟いていた。
何があるか解らないから、とアロマを倉庫に残し、クロノは階段を下りる。もしここに兵器の類いがあれば魔法で使い物にならなくすればいいか、なんて楽観的に考えているが、ここに人がいるのは確実だ。
アロマが聞いたという声の主がここにいる。それが敵なのか味方なのかは解らないが、どちらにせよ事情は聞かなければならない。
(まずは“何でこんな倉庫の地下にいるか”って聞くか…)
質問に優先順位を付けながら、階段を下り終える。
目の前には白っぽい大きな扉が1つ。それ以外には何もない。ドアノブも取ってもない扉をどうやって開ければいいのかと悩んでいると、目の前に魔水晶映像が現れた。
「えっと……シャロンの誕生日を入力しろ?」
その下に現れた数字を一瞥して、シャロンの誕生日を打ちこんでいく。覚えたい訳ではないが、毎年毎年大々的にパーティなんかしていれば嫌でも覚えてしまうのだ。クロノの下にも毎年招待状が送られてくるが、忙しさを理由に欠席している。
多分クロスもそうだろうし、ティアには招待状すら届いていないだろう。
「これでよしっ…と」
最後の数字を打ち終えると、ピピッと小さな音がした。それと同時に扉が横に開く。
扉と同じように真っ白な空間に、白すぎて目が痛くなる。置いてあ
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