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Element Magic Trinity
最後のページを閉じたなら
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ィアはふっと笑みを零した。

「く、くくっ…」
「?」
「あははははははははははっ!」
「んなっ!?」

微笑むだけでは止まらず、遂には腹を抱えて笑い出す。床に転がってしまいそうになるのをどうにか堪えて、笑い過ぎて目に浮かんだ涙を指に乗せるように拭った。
しばらく笑い続けていると、心外だと言いたげな表情のナツがこちらを見ている。

「お前なあ……!」
「仕方ないでしょ、もうおかしくっておかしくって…」
「おかしい言うな!ずっと考えてたんだからな!?」
「ったく…珍しく頭使ったと思ったら、どうでもいい答えを出して来たわね」
「どうでもいいだと!?」

ナツの眉がぴくっと上がった。仲間想いの彼からすれば、ティアの「どうでもいい」発言には腹が立つのだろう。
けれど、本当にどうでもいい。

「だってもう過ぎた事じゃない。今更どうこう言ったって、私がアンタに声かけたのは変わらないんだから、うだうだ悩んだって無駄でしょうが」

もちろん、属性の相性も考えた。弱点である滅竜魔法の使い手が味方とはいえ増えるのも、本当は避けたかった。そりゃあ氷を操るグレイやギルド最強の女魔導士のエルザの方が相性はいいし、同じ元素魔法(エレメントマジック)を使うアルカの方が動きは読みやすい。
それでも、ティアがナツに声を掛けたのには理由がある。理由もなしに、共闘を申し出たりなんてしない。

「それに、アンタが私を助けてくれるって話だったでしょ?……って、この話はあの時少ししたじゃない。何よ、忘れた訳?」

ずいっと覗き込むように顔を近づけると、その迫力からかナツは1歩後ろに下がった。帽子の奥の青い目がいつものように煌めいて、白い肌に映える。
腰に手を当て目の動きだけでナツを見上げるティアは、その体勢のまま口を開いた。

「そこまで考えてくれてるのはありがたいけど、必要ないわ。その程度のデメリットなら想定内よ。だから考えるのはここまで。まずは遺品整理を終わらせるわよ」
「……おう」

そう言ってすいっと離れて言ったティアは、しゃがみ込んで再び衣服を漁り出す。それに続いてナツも紙を片付け始めた。こういう細かい作業は苦手で、すぐに投げ出してしまいたくなる。が、そんな事をすればティアの怒りを買うのは解っている為、大人しく作業に没頭していく。
しばらくの沈黙。それを破ったのは、ティアの声だった。

「……アンタは私の背中を預かってさえいてくれればいいから。少しでも私を信じているなら、アンタの背中は私が預かってあげる。絶対に、勝たせてみせるから」

その言葉に振り返るが、ティアは変わらずイオリの服を広げては畳んでいる。
華奢な背中に笑みを零して、ナツは背を向けて紙を集めた。彼女の頭の中では、誰も理解出来ないような戦術や計算が巡って
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