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天然格闘少女
5部分:第五章
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第五章

 しかしそれでもだった。皆は涼花の話を聞いた。とりあえず聞かないとわからないからだ。
 その涼花はさらに。こう続けてきた。
「その時男の子と一緒に並んで登校したから」
「そんなの誰だってあるわよ」
「そうよ」
 ここまで話を聞いて呆れる皆であった。
「全く。何かって思ったら」
「そんなのは一緒に並んで歩いたって言わないわよ」
「そうなの」
 わかっていないのは涼花だけだった。呆れた顔になる皆に対してこれまでと表情は全く変わらない。そこにはっきりと出ていた。本人だけが気付いていないが。
「とにかく。はじめてのデートね」
「三人で」
「うん。どうなるかな」
 話は戻った。涼花の周りの皆も呆れた顔から真面目な顔になってそれで話を戻していた。
 そうしてその顔で。さらに涼花に言うのだった。
「弟さんがいるから相手もまずいきなり変なことはしないと思うけれど」
「いい?」
 一人が念押しをしてきた。
「何かしてきたら容赦しなくていいからね」
「一気にやっちゃいなさい」
「一気になの」
「そうよ。投げるなり殴るなりして」
「武器使ってもいいから」
 剣道や薙刀まで使える涼花をわかっての言葉である。
「それでやっつけちゃいなさい。いいわね」
「女の操はダイアモンドより高いからね」
 こんな話をしているうちにその日曜日になった。今時のジーンズにシャツのラフな格好で待ち合わせ場所にやって来た暢雄が見たものは。
「えっ、何その格好」
「おかしいの?」
「おかしいっていうかさ」
 涼花の服装を見て唖然としているのだった。何と彼女は桃色の振袖を着ている。しかもそこには白い桃の花と枝まで彩られている。見事な絹の着物であった。
 丁寧に帯まで締められている。暢雄はその涼花を見て唖然としているのであった。
 それで唖然としたまま。こう言うのだった。
「和服・・・・・・なんだ」
「デートだから」
 これが涼花の言葉だった。
「やっぱり。正装しないといけないと思って」
「いや、デートってそういうものじゃないから」
 暢雄は戸惑いながら涼花に継げた。
「もっとさ。ラフにね」
「着物じゃなくていいの?」
「いいよ、全然いいから」
 戸惑った言葉は続く。
「本当に。俺みたいにラフでいいからさ」
「そうだったの」
「そうだよ。まあ着て来たものは仕方ないから」
 それはもう諦めるしかなかった。今更言ったところでどうしようもなかった。
「とりあえずさ」
「映画館よね」
「うん。それで弟さんは?」
 このデートは二人だけで行われるものではない。三人だ。それがわかっているからこそ今涼花に対して彼のことを尋ねたのであった。
「何処にいるの?ちょっと見えないけれど」
「ここにいるわよ」
 し
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