コヨミフェイル
008
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るおかげなのかと思うと、いい気分ではないが。
説明の間影縫さんは黙って僕の言葉に耳を傾けていた。
「話は大体わかったわ。ほんじゃあ、けじめつけに行こか」
「え?」
説明が終わっても考え込むように黙り込んでいた影縫さんは立ち上がると、快活に言った。てっきりこれから共闘する上で必要な情報の共有がなされるのだと思っていた僕は肩透かしを喰らったように呆然とした。
しかし、影縫さんはまるでそんな考えは頭にないようで、それどころか
「おどれらはここに残ってくれへんかな。さっきゆうたようにこれはうちの落ち度で、うちが取らなあかんけじめやさかい、手出しは無用やで」
と、言った。
声音に怒気を感じなかったが、目は鋭くぎらついていた。獲物を狙う捕食者の目だ。
「そうはいきません、影縫さん。身内が関わっているんです」
「わかってる上でゆうてんねん」
なおも目に鋭い光を宿しながら澄ました風に言う影縫さん。
「だったらなんで……」
「まだわからないの、鬼のお兄ちゃん、もとい鬼いちゃん」
今まで精巧な彫刻のように微動だにしなかった斧乃木ちゃんが無表情で、棒読みで言った。
「鬼いちゃんは吸血鬼性を持つ人間だけど、結局は人間なんだよ。今まで何とか切り抜けてきたからって自分に力があると思うなよ。素人が僕達について来ても邪魔なだけ、足手まといだ。自惚れは身を滅ぼすよ、鬼いちゃん――僕はキメ顔でそう言った」
「…………」
図星だった。少なくはない怪異との戦いで自分は怪異のことを知っているつもりでいた、戦えると思い込んでいたのかもしれない。確かに一人では何もできなかったことはないけど、二人について行けばわずかながらでも力になれると思っていた、思い上がっていた。
だから、その言葉は鋭く心を刺し抜いたけど、不思議と受け入れらた。言っているのが怪異だったことも関係しているのかもしれない。
というか、その口癖まだ直ってなかったんだね。
「言わせておれば、この三下の下等な怪異がっ!!」
横にいた忍がただならぬほどの殺気を発した。襲い掛からなかったことが不思議に思えるほどの殺気だった。肩は怒りに震えて燗燗と光る目は斧乃木ちゃんを睨み据えていた。
「いいんだ、忍。斧乃木ちゃんの言う通りだ」
「じゃ、じゃが、我が主様よ!」
一瞬のうちに殺気を引っ込めた忍が慌てて僕の方を向いた。忍は必死に僕を擁護してくれているのだろうが、僕はそのいじらしい忍を可愛いとしか思えなかった。
なんかこれだけ切り取ると、変態の発言としか思えないな。
「いいんだ、忍。その気持ちだけで」
と、言うと、一瞬固まってから、はにかんで照れ臭そうに顔を背けた。しかし、それもまた一瞬ですぐに目付きを鋭くさせて斧乃木ちゃんを睨んだ。
それに思わ
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