暁 〜小説投稿サイト〜
闇物語
コヨミフェイル
007
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の顔面に向かっていた。
 どれほど鍛えているとは言っても、変な道場に通っていると言っても石つぶてを顔面に受けて無事でいられはずがない。もし一生消えない傷が出来たらどうしよう。それで、一生消えない心の傷まで負ってしまったらどうしよう。
 と、妹思いの僕は石つぶてが火憐に到達するまでの一瞬でそんな事を考え、叫んで危機を知らせようとしたが、その行動は失敗だった。
 この行動に出たのは勿論火憐の事を思ってということもあるが、きっと仲間に危険を知らせようとする人間の本能、いや動物の本能なのだろう。しかし、僕はその時、いや最初から火憐の身体能力を考慮に入れていれば、もっと適切な行動ができただろう。
 いや、どうだろう。
 確信は持てない。
 なぜなら火憐は飛んでくる小石に一瞥も与えずに、まるで艦隊防空システムでも搭載しているかの如く、正確に裏拳でそれを捉え、弾いたその石の弾丸は正確に、さらに速さも倍になって僕に打ち返されたからだ。
 それに関しては艦隊防空システムより性能は高いというべきかもしれない。あくまで攻撃を防ぐだけのためのシステムに対して火憐は攻防一体のシステムである。攻撃は最大の防御という言葉は火憐のためにあるように思える。
 とっさにマトリックスの如く膝を折り、地面に平行になるように体を倒してかわした。
 たった一つの小石をよけるにはあまりに大袈裟であると思うかもしれないが、火憐の攻撃の威力を身に染みて知っている僕にとっては自然な反応なのだ。
 幸いにもかわすことはできたが、そのままの体勢でいられるわけがない。
 マトリックスでは足を銃弾が掠めたために体勢を崩して倒れたのだが、僕の背中は地面につくことはなかった。
 無意識のうちに両手をついていたのだ。
 つまり、ブリッジの恰好になっていた。
 我ながらびっくりである。
 自分にこんなことができたことによりかは火憐と同じことをしていたことに驚いていた。歩道の真ん中でブリッジをしている高校生の画というのはきっと僕が想像しているよりずっとシュールだろう。
 火憐の持ちネタをやってみるかと一瞬思ってしまったが、それこそ警察官に職質され兼ねない愚行だと気づき、ブリッジの状態から体勢を戻そうと悪戦苦闘していると、(一度ブリッジをするとなかなかどうして元に戻ることができない。いつかの火憐のようにはいかないのである)
 「……阿良々木さん……何をやっているのですか?」
 いつの間にか目の前に八九寺がいた。
 膝を少し折って、僕の顔を覗き込んでいた。
 今日二度目の登場だ。
 しかも、八九寺のほうから声をかけてくるとは吉兆の現れか?
 ブリッジをしているため僕の目には八九寺のスカートの中が見え――なかった。見えそうで見えない絶妙な感じだった。見えそうで見せないというのが本当のエロス
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