コヨミフェイル
007
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った方がよかったのかもしれない。
「そう、捨て鉢になるな。思い付いたことがある」
忍が得意げに言った。
そうならそう言ってくれよ。
「で、その思い付いたことは何ですか?」
「儂のしたことが何故こんなことも思い付かなかったのじゃ!」
「いや、そんな名探偵が助手の何気ない言葉に閃いたみたいに言ってんじゃねえよ。さっさと吐いて楽になれよ」
「お前様こそ人権を無視したような取り調べをしている刑事みたいじゃぞ。まあ、よい。どの時代でも事件が起きたら真っ先に警察とか探偵がすることがあるじゃろうが」
「…………捜査?」
と、言った瞬間、八九寺に足払いされ、地面に倒れ伏す寸前で、忍に顔面を下段蹴りされた。流れるような連携技だった。気付いたときには顔面を蹴られてガードレールに後頭部を強打していたのだから。
「そんなくだらんボケに付き合っていられるほど儂の気もは長くない」
「ぐっ…………。これで偏差値が下がっていたらただでは済まさないからな」
「何儂を偏差値が下がったときの言い訳にしとるんじゃ、たわけ。実況見分じゃろうが」
「実況見分って……」
言われれば気付くけれど、僕のような一介の高校生では正当率が半分いくかいかないかだろ。僕の家族に刑事ドラマ見る奴がいないから、自然と知識の入手ルートは忍野メメになるのだが、これも違うように思う。
忍野がテレビの前で刑事ドラマみている画なんて想像できないし、何かしたくない。
「ん?こんなことくらいニュースを見ていたら耳にするじゃろう?」
吸血鬼に『ニュースを見ていたら耳するだろう』って言われた。
本当に俗に溶け込みすぎだろこの吸血鬼。
しかし、言われてみれば、実況見分も一理あるかもしれない。それで何か手掛かりを掴めれば、突破口を開くことできるやもしれない。
例えば怪異の臭いとかだ。
「そうと決まれば、行くぞ、我が主様よ」
忍はそう言って自転車のカゴにすっぽりと体を収めた。
「了解と言いたいところだが、水飲み鳥くんの家の住所なんて知らないしな。…………小妹に聞くしかねえな」
一日二度も月火に電話を掛けなければならない日が来るとは思いも寄らなんだ。
ていうか、全然気が進まない。妹のことに関して二度も妹に電話を掛けるとか、妹を心配する過保護な兄と思われそうだ。そんな根も葉も無い言い掛かりを付けられるのは我慢ならない。
「実際にシスコンじゃろうが、お前様は。妹の初チューを続けざまに奪いよってからに。しかも、頑なに彼氏を紹介させない辺り完全にシスコンじゃろう」
それと彼氏の名前をわざと間違えて言っておる辺りなんて特にのう。
と、忍。
「ぐっ…………」
僕がシスコンなはずがない。
なぜなら、僕にはれっきとした血の繋がっていない彼女
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