暁 〜小説投稿サイト〜
闇物語
コヨミフェイル
007
[13/17]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
けなのかもしれないけど、一つだけ確信を持って言えることがある。
 少しだけ羽川の身が軽くなったような見えた。
 髪型を変えて、メガネを外し、性格までもが変わった。
 何かから解放されたような感がある。
 「本当にお前は何でも知ってるな」
 どこか感慨を覚えながら言った。
 「何でもは知らないわよ。知っていることだけ」
 例によって例の如くさらっと羽川は昔、というほど昔ではないが、感慨を込めて昔とすることにして、昔と変わらず言った。
 「今日はいいよ、阿良々木くん。それに今回の事件に怪異が関わっていないとは限らないしね」
 「ああ……」
 「それと、阿良々木くんには受験勉強があるんだから今日中に済ませること。わかった?うん、そう。じゃあ、頑張ってね、私は私でできることをするよ。じゃあね」
 通話終了を示す画面を少しの間だけ眺めてから、携帯をポケットに閉まった。
 後は火憐の思い人くん一家をどうやって見つけるかだった。彼等とは面識はない。見つける当てもまるでない。だが、これが怪異絡みなのなら方法はある。
 彼等を探すのではなく、彼等を隠した怪異を探すことで逆から遡ることができるし、怪異を見つける手段もある。
 だが、人為でなくて怪異の仕業ならその目的は何だ。人為ならば、身代金や身柄の解放等等がそちらの知識に疎い僕でも思い付く。この場合警察の領分で僕たちの出る幕はない。
 しかし、怪異となるとそうはいかない。目的が見えない。
 神隠しというものがあるが、この場合打つ手がまるでない。探すにも神隠しは実体も目的もない怪異現象に過ぎない。ただ戻ってくることを祈るしかない。
 生存率もへったくれもない。
 他の場合も似たり寄ったりだろう。
 だからと言って願っているわけにもいかない。今はできることしなければならない。
 「八九寺、お前って他の怪異とか関知できたりするのか?」
 僕が携帯で電話している間、忍といがみ合っていた八九寺に訊いた。
 「できませんよ。私はただ迷っているだけの怪異ですからそのようなスキルは持っていませんよ。精精鬼神化ぐらいですかね」
 「それを言うなら鬼神じゃなくて、鬼人だろ。というか、お前は奇人だな」
 「阿良々木さんにだけは言われたくないですっ!」
 ……僕は奇人キャラなのか?
 僕もいつの間にか斧乃木に負けず劣らず不安定なキャラ付けをされているらしい。
 「なら、忍に頼るしか手はなさそうだな」
 「なんじゃその仕方無しみたいな言い方は。まさか儂がどれほどお前様の役に立ってきたか忘れたわけでないじゃろうな」
 忍は腕を組んでふんと鼻を鳴らした。
 「忘れてなんかいねえよ。だが、できるだけ忍の手を借りずに解決したいんだ。いつまでもお前に頼りっきりだと、もし忍の力を借りられない状況に陥ったと
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ