赤の少女が求めしモノは
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あんたがありのまま駆ける事で……それならきっと、無駄死にじゃない」
じ……とこちらを見やる視線は鋭い。あたしを読み解こうとしている。そのまま言ってるんだから気にしなくていいのに。
ああ、またいらいらしてきた。ホント、なんであたしは……
「命賭けて想いを繋ぐ、そうして誰かの中で生き続ける。あたしがしてる事とおんなじだ……って、つまんない事言った」
此処まで言わなくてもいいのに、何を感情的になっているのか。
「ええ、聞かせや。正直、ちぃとばかしあんたの事を知ってみたなった」
自分語りをするのは好きじゃない。
――あたしが聞いて欲しいだけ? なんかヤダ。此処は、この場所は、こいつらの側は……あたしには眩しすぎる。
苛立ちが胸を裂いてくる。すっきりしたい。そのまんま言えば、ちょっとはすっきり出来るかな?
どうせこの後勝てば一緒に戦っていく人材だ。もういいや、めんどくさいから難しく考えるのはやめよう。
「……もしあたしが死ぬのなら、あたしの代わりに桂花か秋兄が夕を救ってくれればそれでいい。例えあたしが死んであの子が泣くとしても、誰かが夕を笑わせてくれたらそれでいい」
いつも考えてる。あたしが死んだらどうなるか。
夕の幸せを手に入れて、あたしが死んでしまっても……彼女が笑顔で居れる事を願ってる。桂花と秋兄が優しい人で良かった。
「まるで今死んでもええみたいな言い方やな」
「冗談! 夕を泣かせるような事は出来る限りしないってば。でも、こんな乱世で、親しいモノが誰も死なずに生き残れるのが確定なんてバカげてるじゃん。そんな都合のいい世界なんか嘘っぱちだ。茶番劇だ。みぃんな何かの為に命賭けて戦ってるのにさ。戦ってるなら、自分が死ぬ可能性すら少しでも考えておくべきってねー」
夕が死ぬなんて事態にだけは絶対にさせないけど、とは言わない。董卓を守れなかったこいつには言うべきじゃない。
「……その通り、か」
ちくりと何かが痛んだような表情。董卓軍の多くを失った張遼には、少し痛い言い方だったようだ。
「なーんか煮え切らないみたいだけど……求めてるのはお綺麗な試し合いなの? 命が安全圏に確約されたモノで渇望が満たされるなら――」
「あほ言え。んなわけあらへん。殺し合いと試合はちゃう。なんもかんも賭けられるんは命乗せてこそや。戦争しとるのに、安全圏で慣れ合うだけの……茶番みたいな戦争ごっこなんざしてたまるかいっ」
睨む視線は殺気を込めて。その怒りは、将として当然のモノ。
張遼はこうでなければ、神速には成り得ない。
等しく命を賭けるから兵が守りたくて着いて来る。強さに焦がれ、追い求めるから兵も並びたくて追い駆ける。
生きたい願いが力になる……兵はそれでいい。だが
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