Interview10 イリス――共食いの名
「そんなにも我らが憎かったか」
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「マクスウェル。あんたの気持ちは。尊師への気持ちはどうだったんだ。裏切られたってショックを受けて、その後は? 尊師を愛する気持ちは、これっぽっちもなくなったのか? 尊師の歌声は、あんたの心に少しも響かなかったのか?」
ヴェリウスとシャドウが見せたミラ・クルスニクを思い出す。マクスウェルを呼んでいた。
『ごめんなさい、ごめんなさい、許して、お願い』
『私を許さなくていい、私を憎んでもいい。せめて仲間たちは許してあげて』
『「道標」を取りに行かせてあげて。彼らに罪はないの』
『お願い、おねがい、応えてください、我が背の君』
『ミラの、歌だと?』
マクスウェルは人への失望は呈したままに、ますます眉をひそめた。
「無駄だ、ルドガー」
「アルヴィン?」
「断界殻ってのは次元を隔てる破格の閉鎖術式だ。歌声どころか電波や光だって、当時のリーゼ・マクシアにゃ届かなかっただろうよ。俺らの親の代で、辛うじて無線が通じたぐらいだ」
反論できず拳を固めた。
マクスウェルはミラ・クルスニクの召喚に応じなかった。彼女は悲しみを抱いたまま歯車に成り果てた。
そして今も時空の海のどこかを、終わらぬ天地を夢見ながら漂っている。
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