抉りて殺せ (1)
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リと笑い返す。
「まだ生きてたのか、金蔵」
「ふっ。こちらの台詞よ。貴様こそ、まだくたばってはいなかったか」
「それが出来てりゃ苦労はしない」
見た目は変われど、中身は然程も変わらない。
目の前の老人は確かに、右代宮 金蔵だ。
さて、そんな金蔵が俺に何の用だろうか? わざわざ手紙まで送り付けて、是非にと招待したかった理由が分からん。
「儂はもう長くない」
「...何を言い出すかと思えば」
「いや、聞いてくれ! 儂は、あと2、3年の命だ。命尽きる前に、どうしても頼みたいことがある。
......初めて会ったあの日、言ったな? 儂が死を恐れるようになると。その通りだった。儂は、その瞬間までいつ死んでも構わないと思っていたのだ。
皮肉なことよ。いつ死んでも構わないと思っていた人間が、いざ死に直面した途端に死を恐れるようになった。儂はまだ、死ぬわけにはいかぬ。ベアトリーチェに許しを貰うまで、死ねぬのだ!」
金蔵は老いていた。肉体的にではなく、精神的に。
愛した人間を次々と亡くし、寄り添う者も、手を取る者もいない。家族とは年に数回しか会えず、頼る子らは金の亡者になりつつある。
そんな金蔵が望むのは、ベアトリーチェにもう一度会うこと。
「......分かった。協力してやる。見返りはあるんだろうな?」
「勿論だとも! お主には右代宮の姓と、この《片翼の紋章》が描かれた義肢を授ける。これで、誰も文句は付けられない」
ちょっと買い被り過ぎじゃないか? 俺が出来ることなんてあまり無いと思うんだが...。でもまあ、名前を貰えたのは助かった。これでしばらくは世界に定着出来る。
ついでに名前も付けて欲しいと頼んだところ、“狼銃ではどうか?”と言われた。
「狼に銃って、なんか物騒じゃないか?」
「洋酒は嗜まんのか」
「当て字かよ。それに、あれのロゴは馬だぞ」
「いいではないか。今日より狼銃と名乗るがいい。我が友よ」
金蔵、意外と大雑把なんだな。
気に入らないわけじゃないから、何も言い返せないが。
それ以来、俺たちはベアトリーチェに会うために手を尽くすようになる。
‐現在‐
「...何か用か?」
秀吉と源次を捜索中、目の前に現れた魔女に声をかける。
魔女は俯いたまま雨に打たれ、鋭い視線をギロリとこちらに向けてくる。怒っている? いや、不安なだけだ。
「大丈夫。わざと負けるつもりはない」
「............」
「安心しろ。俺のベアトリーチェ...」
消え行く魔女の表情は哀しそうだった。
さて、邪魔がなくなったところで召喚とい
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