第03話 中年のヒゲ
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「ハッ!」
セキレイは意識を取り戻し、起き上った。
「ハトッ!!」
そこには、床に倒れこんだハトがいた。
足や体からは血が流れ出ていた。
「セキレイ‥‥‥‥‥‥‥お兄ちゃん‥‥‥‥‥‥‥‥」
ハトは倒れ込んだまま言った。
「これは‥‥‥‥どういう‥‥‥‥‥」
セキレイはこの状況を理解するのに時間がかかった。
「一体どういうことだ‥‥‥‥‥‥?」
セキレイに分かるはずがなかった。なぜなら
彼は今まで完全に眠っていたのだから。
数十分前―――――――‥‥‥‥‥
バンッ!
「キャッ!な、何?」
ハトは突然の銃声に飛び起きた。
「観念しろ!これ以上は逃げられんぞ!!」
多くの銃を持った軍人が立っていた。
「お兄ちゃん、セキレイお兄ちゃん、起きて!」
ハトはセキレイを手で軽く揺さぶった。
「無駄だ。そいつはどうやっても数時間は起きることはない」
いつの間にかハトの足元まで来ていた男が言った。
「そいつが戦った対″鎧虫″用マシンの中には
麻酔弾入りの小型の奴が用意されていたんだよ。
その弾にそいつが気付かない内に当たったようだな」
ハトはセキレイの横腹に刺さった針の付いたものに気付いた。
彼女はそれを指で外した。抜くというよりデコピンで弾き飛ばした。
「それで、お兄ちゃんをどうするの?」
ハトは足元の男に訊いた。
「決まってるだろ?処分するのさ」
足元男は口元を歪ませて言った。
それを聞いたハトは叫んだ。
「しょぶんって何?もしかして、セキレイお兄ちゃんを殺しちゃうの?」
足元男は笑い出した。
「決まってるだろ。ここを抜け出したんだ。失敗作に用はないってことさ」
ハトはショックを受けた。
博士がここまで人間性のない男だったとは。
足元男は笑顔で言った。
「安心しろ。お前もどうせ殺されるんだ。寂しくはないよ」
ハトの目は涙で溢れていた。
ポロッ‥‥‥ポロポロッ‥‥‥‥‥‥
ハトの身体が大きいため、涙も大きかった。
涙は足元男にも当たりかけた。
「うおっと、んじゃそろそろ、さいならだ」
足元男は後ろの軍人たちに手で合図をした。
軍人たちは銃を躊躇なく構えた。
「セキレイお兄ちゃん!!」
ハトはセキレイを抱きしめた。その瞬間―――――――
ザッパァァァァァァァン!!
地面から謎の中年が姿を現した。
どういうわけか床をクロールで泳いでいる。
目の前の光景に軍人たちも少し動揺があった。
いきなり地面から現れた中年が今ここで泳いでいるのだから。
床の上ではなく本当に床をだ。
「‥‥‥‥グスッ
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