暁 〜小説投稿サイト〜
エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第二十七話 漆黒のミラ=マクスウェル
[2/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
うに氷の盾で防がれる。そういえばこの頃のセルシウスはジランドの従僕だと聞いた。

 ならば。
 武器をハンマーに変えて、氷の盾に力一杯打ちつける。
 盾が砕けるまでは今まで通り。だが、ハンマーは剣と違って盾を割っても威力は殺せない。

 許せよ、セルシウス。
 ハンマーでセルシウスの腹を強打した。セルシウスが横に吹き飛ぶ。倒れるまでは行かなかったか。だが、充分だ。

「イバル! エリーゼ!」

 呼びかけて、フェイリオの後ろまで下がる。エリーゼとイバルも倣う。
 すでにフェイリオは合掌してトランス状態。ジランドは狙いに気づいたが――遅い。


「 ひ か り が と じ て 」


 大規模な光の障壁が〈槍〉からジランドたちを遠ざける。
 フォースフィールド。フェイリオ最大出力の決戦術式。例えセルシウスであろうが破るまで10分はかかる。それだけあれば充分だ。

「ミラ様……お待たせして大変申し訳ございませんでした。今戒めを解き放ちます」

 イバルが円盤を取り出した。円盤が砂時計の形に編み上がる。
 幾何学の砂時計が、ゆっくりと、コンソールにセットされた。

 死ぬなよ。イバル。

 ずん、と頭蓋骨の中身が強制的に吸い出されるような重圧が、襲った。

「ぐあっ!?」
「ふうぅ!」『力が抜けるー!』

 ラフォートの夜と同じ…マナを剥がされる感覚…!

 これを壊すことを最大の目的にした過去のジュードたちの気持ちがよく分かったよ。確かにこんな兵器は後世に残すべきじゃない。

「ダイジョウブ」

 フェイリオ?

「ダイジョウブ。コワくない。ダイジョウブ。コワくない――」

 二つの言葉をくり返して自身を抱くフェイリオに、錯乱の色はない。
 どうしてだろう。そんなフェイを、抱き締めたくて堪らなくなった。

「っ、パパ」

 肩を抱き寄せ、強く握ったフェイリオの手を解かせて手を繋ぐ。

「大丈夫だ」
「うん……っ、知ってる」

 フェイリオは私の手を握り返した。


 ――そうして耐えた時間は数分か、あるいは数時間か。

 開いた〈槍〉の砲口から、5つの光球が飛び出した。
 球形立体陣は5つ。赤、青、緑、茶の陣の中には四大精霊。そして、4つの陣の中央に浮かぶ、最大級の漆黒の球体陣の中――胎児のように丸まった、金蘭の女。

「ミラ様っ!!」

 これ以上ないイバルの歓声。

 ――ミラ=マクスウェルは解き放たれた。

「イバル、もういい! 〈槍〉を停めろ!」
「ぐ、ぬぬぬぬぬぬ〜っっ……だああああ!?!?」

 イバルは起動キーを外した反動でローリングして戻ってきた。エリーゼが慌てて駆け寄る。……戦場に在ってこの緊張感のなさはも
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ