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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第二十六話 彼女を取り戻すために
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ランドが持ち出した〈クルスニクの槍〉のみ。

 ――見えた。丘の上。〈クルスニクの槍〉。ジランド自身もそばにいる。もうじき届く――!

 バシャン! パン、パン!

 水球!? 攻撃精霊術だ。術者は……プレザ!?

「ひゃ…っ」
「きゃああ!」『落ちる落ちる落ちる〜〜!』

 水球をまともに腹に食らったワイバーンが落ちる。当然、乗っている私たちも背中から滑り落ちる。

 ちっ、やむをえん。骸殻に変身して先に着地してから、イバルとエリーゼを受け止め……

 がくんっ

 私やイバルとエリーゼに浮力が働いた。風? そうか、フェイリオ、お前の力か。

 フェイリオの操る風の浮力で、全員がほとんど衝撃なく着地した。

「みんなフェイのそばに来てっ。流沼に呑み込まれちゃうから」

 フェイリオが増霊極(ブースター)なしで地面に水平に手をかざした。これで流沼対策は終わりか。呆気ないものだ。だが――

「立ち塞がるのは貴様らか」

 ガイアス+四象刃(フォーヴ)(アグリア抜き)のちょうど進行方向が着地点だったことだけは、多少は恨ませてもらうぞ、フェイ。

「ワイバーンを落としたのは貴様らか!」
「ええ。大きな的でとってもやりやすかったわよ、ボウヤ」

 プレザが魔導書をひらひらと示した。

 獣隷術で動物と通じ合えるイバルには、友人を攻撃されたも同然なんだろう。これでもか! と、プレザを睨んでいる。

「知ってるわよ。〈クルスニクの槍〉の〈カギ〉、そこの小さなお姫様が持ってるんですってね」

 情報が古い。やはり出発前に持ち手をイバルに替えて正解だった。

「娘っ子。頼む。大人しく『カギ』を渡してくれ。お前を傷つけとうはない」
「渡すものか!」

 イバルがエリーゼより前に出て、二刀を抜いて真っ先に応戦の構えを取った。

「これは…これは俺の大切な方を解き放つために欠かせない物なんだ!」

 数だけなら4対4でイーブンだが、こっちには子供が二人もいる。

 フェイリオ、それとイバルとエリーゼを後ろへ。前には私が出る。

「答えてくれるか、ガイアス王。なぜクルスニクの槍を求めるか」
「全ての民を守るためだ。力は全て俺に集約させ管理する」
「それはただの独占に過ぎんぞ!」

 意外や意外。言い返したのはイバルだった。しかも内容も理に適っている。

「結果、貴様も守るべき民も〈槍〉の力が災いし身を滅ぼすだろう」
「俺は滅びぬ。弱き者を導くこの意思がある限り」
「貴様は一つ重大な現実から目を背けている。貴様にいくら力があろうが、いつかは死ぬ。その後は? そのもっと後は? 人の系譜に二度(ふたたび)貴様のような者が現れる保証があるか!? 道を違えた者を正す人間
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