SAO編?―アインクラッド―
第一章―剣の世界―
第11話?終わりとそれから
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ることだったが、奇跡的に人が通っていないことと敏捷力を上げていたことにより、目立つことなく宿から抜け出すことができた。
?そのまま駆け足で宿から急いで離れる。二人に見つからないように念のためあまり人目が通らない道を通るとしよう。
?大通りから路地裏のように細く薄暗い道へ進んでいくと、段々と人の数が減っていった。一度立ち止まり、後ろを振り返る。当たり前だが、そこには誰もいない。
?二人の姿が頭に浮かぶと同時に胸に鈍い痛みが走った。
「…………すまん、二人とも」
?二人に聞こえもしないのに、謝罪の言葉を呟く。そして、再び進もうと前を見た瞬間――
「謝るぐらいならしなきゃよかったんじゃない?」
?反射的に自分が背中を向けていた方向を見る。さっきまで誰もいなかったはずのその場所には昼間まで一緒にいた女剣士が立っていた。深く被っている紺色のケープのせいで全く表情が見えない。
?俺は小さく息を吸ったあと、彼女――カグヤに言葉を投げた。
「……どうして俺の場所が判った?」
?一応発動していた《策敵スキル》には何も反応がなかったはずだが……。
「私、あなたたちと向かい側の宿に泊まってたからね。窓から飛び降りるあなたが見えたから、追いかけただけ」
「…………」
?今思えばカグヤと別れたのはトールバーナの入口でだ。ユウとカイからバレないようにすることに頭が一杯でカグヤのことを忘れていた。
?そして策敵スキルに引っ掛からなかったのは、カグヤが《隠密スキル》を取得しているからだろう。しかも相当熟練度を上げているらしい。
?俺が推測していると、カグヤはさらに言葉を続ける。
「これがコウの選択?」
「……まあ、な」
?正直、あまりしたくはなかったことだが、二人を巻き込まないためにはこうするしかなかった。これからβテスターが非難されることになっていくだろう。もし一緒にいて俺がβテスターだとバレた場合、二人まで非難されることになる。
?俺はカグヤに罵倒されるか指摘されることを覚悟したが、そのどちらでもない言葉が俺の耳に届いた。
「そう、なら私からは何もないね」
「……何も言わないのか?」
?俺の言葉にケープ越しからでも判るほど、不思議そうな顔をした。口元が少し空いている。
「なにか言ってほしいの?」
「……いや、そういう訳じゃない。ただ、意外ではあったな」
?カグヤは少し離れたここでもわかるほどの大きさで息を吐いた。
「これはあなたたちの問題だから。一日二日の付き合いでしかない私が口出しすることじゃないわ」
「……そうか」
?彼女の冷たいようで優しい対応に思わず笑いそうになるが、実際は口の端が微塵もつり上がっていないだろう。自分では笑っているつもりでも笑っていないというこ
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