第一章 桜の秘密
プロローグ 始まりは記憶の中にて
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供を諭す母親のような口調で話す。
「分かったよ」
「で、さら」
「は、はい?」
立夏に呼ばれ反応するのは瑠川さらだ。
さらのことはよく知っている。さらの父親とは顔見知りでとても気さくで優しい人だ。そして何より夫婦仲がとてもいい、俺の親父が羨むほどにだ。また紅茶を淹れるのが得意で偶に俺も教えてもらっている程だ。仕事熱心で素晴らしい人だ。
さらはそんな父親のおかげか、とても真面目で優等生で博識だ。まあ学年2位しか取ったことのない俺が言ってもなんだが………
無論、前世でもさらは優等生だが、
「そこのネボスケも起こして」
立夏が見る視線の先にはテーブルに腕枕をして爆睡している生徒がいた。
「分かりました」
さらはそう言って席を立ち隣で爆睡している部員を起こしにかかる。
その生徒ー陽ノ下葵は、一言で言ってアルバイト大好きっ子だ。えっ?それじゃあ二語だって?んなもんは気にするな。
とにかく言った通りアルバイトが大好きなんだが、身体がそんなに丈夫じゃない。前世そうでもなかったが、死が関係してるのか?
そんな葵をさらがゆさゆさと揺すって名前を呼ぶ。
「葵ちゃん、起きてください」
「む、無理です〜」
「無理って、森園先輩が睨んでますよ?早く起きないと……」
葵が無理と言うとさらが今の状況を説明しながら、懸命に起こそうとする。それを眺めながら、俺はさっき見た夢について考えていた。
空から地表へと続くエスカレーター、海と見間違うほどの地底湖………
間違いない、俺の前世の記憶だ。そんな俺が心配なのか俺の顔を覗き込んでくるジル。
「もしかして、前世の記憶でも見えたの?」
他のみんなに聞こえないように小声で話しかけてくる。
ここにいるみんなには内緒だが、俺とジルには生まれる前の記憶がある、いわゆる前世の記憶ってやつだ。
俺は血の繋がりがあるからか前世同様に魔法使いだ。
「ちょっと、そこのバカップル。聞いてるの?」
立夏の声に俺らは苦笑しながらも話を聞くために立夏の方を向いた。
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