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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
薄明
第14話 暗幕
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のさ。」
「―――箝口令を強いてまで本人の耳に入らないようにしておいてですか?幾らなんでも職権乱用でしょうに。」
斑鳩嵩継の言葉に内心、自分が楽しみたいからわざと教えてないだけだろうな、という嫌な確信を抱いて助六郎は皮肉の苦笑を織り交ぜて嘆息する。
「では、兄弟子である卿に聞くがアレが婚約したから素直に従えと言って聞くか?」
「相手にも因りますが……篁嬢相手では絶対に受け入れないでしょうね。―――あれで結構、正義感には篤い奴ですから。」
「あら、彼の経歴は私も見ましたがそのような人物には見受けられませんでしたが。」
嵩継の問いに渋い表情で同意する真壁。
本の一時ではあるが、忠亮は真壁助六郎の一門、真壁派一刀流に師事していたこともあるため面識もあり、何度か剣を打ち合った事もある―――師範代の一人が出来心で見せた奥義書を即座に理解し、再現させて見せたのには驚愕したが。
対して藤原女史は大陸や、四国戦線での冷徹とも呼べるあらゆるモノ利用した戦績を見ての評価だった。
助けられないと判断した味方は即座に、時には己の手で処断し。あえて四国にBETAを引き込むことで京都への圧力を逃がした事も知っている。
「女史は一側面しか見えてないな。
―――正義の行きつく先は大抵決まっている……一人を救えば十人、十人を救えば百人、百人を救えば…そうやってネズミ算式に助けなくてはならない人間は増えていく。しかし、万人を救えるほど人は万能ではないし、救っては成らない人間も当然存在する。
己の意思で救う人間を選別するという責任は決して軽い物ではなく、それは力持つ者の責務だ。――だが、力を持ってしまってはいけない者が力を持った例は古今東西腐るほどにある。」
無能だが権力という力を握ってしまった例、狂った思想を持つ権力者、際限のない我欲を持つ為政者……チャーチル、ヒトラー、スターリン、ヘンリー・スティムソン、ルーズベルト、フビライ・ハン、李承晩、例を挙げれば限が無い。
そういった、力を得てしまった悪。すなわち邪悪を討つために、力あるものは相応しくないものが強者の頂点に立った時、その暴威に立ち向かう責任があるのだ。
人類の恒久的世界平和、人道的な理想郷。そんな大言蒙昧な戯事は云わなくていい。
ただ、次世代を……消えては生まれていく命と文化の連続性。
次があるという最低限の希望と可能性を残さなくてはならないのだ―――かつての植民地支配や、元寇それに大東亜戦争でアメリカが日本占領後に行おうとした政策ではそれが皆無だったのだ……だから、戦わざる得なかったのだ。
「そういった邪悪を排除するために正義は強くなくてはならない、だが純然な正義は必ず悪に対し手段を択ばないといけないというハンデを常に背負っている
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