第一章
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第一章
バニーガール
高橋真理奈はアルバイトを探していた。それもかなり実入りがいいものをだ。彼女がそうしたアルバイトを探すのには彼女なりにれっきとした理由があった。
「お金が欲しいのよ」
「誰だってそれは欲しいわよ」
クラスメイトの五十嵐和歌子がすぐに突っ込む。見れば二人共あまり背は高くない。真理奈はにこにことした顔立ちで目がいつも笑っている感じである。色は白く長い黒髪を左横で束ねている。小柄だが中々肉感的な身体つきをしているのが赤いブレザーと黒と青のタートンチェックのミニスカートの制服の上からでもわかる。それに対して和歌子はすらりとした感じで髪は茶髪を上で束ねている。こちらの目は少し釣り目気味であり人形に似た感じの顔をしている。
「誰だってね」
「私は今特に欲しいのよ」
真理奈は和歌子の冷たい突っ込みに少し憮然として言葉を返した。二人は学校の食堂で同じ天麩羅うどんを食べながら話をしている。
「特にね」
「そんなに欲しいの」
「訳ありなのよ」
そう和歌子に述べる。
「ちょっとね。色々とあって」
「よかったら話してくれるかしら」
何だかんだいって友人である。和歌子も真理奈が真剣なのを察してあらためて声をかけてきた。
「どうしてそんなにお金がいるのかしら」
「高谷君にね」
真理奈はここで隣のクラスのイケメンの男の子の名前を出してきた。
「告白されちゃったのよ。それで受けて」
「デートでもすることになったの?」
「そう」
ここのおのろけがはじまった。
「それでなのよ。お金が凄い必要なのよ」
「そんなのお小遣いでどうにかなるでしょ」
「ならないわよ」
すぐに和歌子に対して憮然とした顔を急に作って反論した。
「デートでね、遊園地に行って喫茶店に行って」
「猫の遊園地で一泊でもするつもり?」
「駄目かしら」
道理でお金が必要な筈である。真理奈はそれを本気で考えていたのだ。高校生にしてはかなりの背伸びであると言えるものであった。
「はじめてのデートなんだし。それに」
「彼とホテルで一泊ね」
「そういうこと。だからどうしてもお金が必要なのよ」
「他の遊園地とラブホテルじゃ駄目なの?」
和歌子は高校生らしい背丈で言ってきた。
「それが普通だと思うけれど」
「普通じゃ駄目なのよ」
しかしそれでも真理奈の考えは変わらないのであった。
「だってはじめてだから」
「はじめてだと普通は安全牌でいくものだけれど」
和歌子は口ではこうは言ったが真理奈ののろけぶりに何か心が溶かされた。それで一旦溜息を出した後で彼女に対して言うのであった。
「あるわよ」
「そのアルバイトが?」
「ええ、一応はね」
こう彼女に告げる。
「あるにはあるわ
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