第一章
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」
「本当!?それじゃあすぐに紹介して」
「ただし」
晴れやかな顔を見せる真理奈に対して告げる。
「かなり恥ずかしいかもね」
「かなりって?」
「言っておくけれどギリギリで変なお店じゃないから」
「変なお店じゃないの」
「そう、ギリギリだけれどね」
和歌子はその釣り気味の目を鋭くさせて彼女に言うのであった。だが言われている当の本人はその事情が今一つ掴めないでいた。
「それでもいいかしら」
「お金はいいのよね」
「それは凄くいいわ」
これははっきりと保障してみせた。
「ちょっと働いたらそれだけで猫の遊園地で一泊できるわよ」
「それじゃあそれでいいわ」
むべもなくそれを受ける真理奈であった。
「じゃあすぐに紹介して」
「いいわ。ただし」
「ただし?」
「制服で来ないことね」
「制服で?」
「そう」
何故かここで和歌子は念を押す感じになっていた。真理奈はどうして彼女がそうしてきたかわからなかった。だがそれでも彼女はそのアルバイトを受けることにした。どうしてもお金が必要であったからだ。
こうして彼女は私服で和歌子と待ち合わせてそのアルバイトの面接に向かう。和歌子はラフな青いジーンズと黒のジャケットで真理奈は淡いピンクのワンピースに白いコートである。真理奈はその服を和歌子に見せて問うた。
「この服でもいいわよね」
「そうね」
和歌子は彼女のワンピースを見て答えた。
「制服じゃなければ別にいいわ」
「そうなの」
「それにアルバイトの時は着替えるし」
「そこの服に?」
「ええ、そうなのよ」
こう真理奈に教える。
「じゃあ行きましょう」
「わかったわ。それじゃあ」
こうして二人は繁華街に向かう。真理奈はその繁華街に入って少し妙な感じを覚えたがそれでも和歌子について行った。そうしてそのアルバイト先とは。
「この前電話で紹介した娘よ」
「へえ、その娘がね」
何かスケベというか一歩間違えればロリコンではないかと思えるような雰囲気の中年の男が和歌子に応えていた。見れば店はやけに明るいがそれは学校にあるような健全な明るさではなくかなり妖しい明るさであった。真理奈はその明るさを見て顔を顰めさせていたがあえて今は喋らなかった。そうして和歌子とその男のやり取りを見ていた。男の服のポケットから見える携帯のストラップを見ながら。それは小さいアニメキャラのマスコット人形である。やはりロリっぽかった。
「どうかしら」
「そうだね。いいと思うよ」
「いいそうよ」
和歌子は男の話を聞いて真理奈に対して言うのであった。
「このお店でアルバイトさせてもらえるって」
「有り難うございます」
真理奈は一応は男に対して頭を垂れて礼を述べた。それからこうした時の決まり文句を述べた。
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