第壱章
第四席。法正、名無しの鬼を引き取るとのこと
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取ってたら狼さんに締められた?」
「そういうことだよ。ちなみにその時、全員死を覚悟してたんだ。殺気が強過ぎて立ってるのがやっとでね。これはもうダメかな、って思ってたら司令官に助けられたのさ。『……的盧、無闇矢鱈と殺そうとするな。……こいつ等がオレを攻撃してくる訳もわかるしな』ってね。で、助けられたし、命を救ってもらった訳だし、自分達でも逆恨みだって自覚してたから、今までの罵詈雑言を土下座しながら撤回したとさ。まあ、司令官は『……特に気にしていない』って赦してくれて、あーこの人いい人だぁーと思ったよ」
「そ、それってもしかしなくてもせんの……」
「うん。そうかもしれない。でも、司令官が私達の命を救ってくれたのは事実だし、私達の自業自得だったからね。何か恩返し出来る事を探しつつ、司令官の部下にして貰ったのさ」
心折った所に救いの手を差し伸べる。思い切り洗脳の手口じゃないかな? と思ったけど、口に出したら即肯定されてしまったので何度目かの驚愕硬直をする少女。
「まあ、と言う訳だ。キミも司令官にケチ付けると的盧達に殺されるかも知れないから気を付ける様にね? 的盧や今ここに居ない最古参の人達がしなくても、私たちの誰かがすると思うよ」
「……そんなにこの人が好きなの?」
「大好きだよ? 司令官の為に死んでもいいくらいには」
即答され、木曾もそれに同意する様に頷いていた。それを聞いて、思考が本格的に停止した少女。
その少女を見て、木曾と響は苦笑を浮かべた。
「ま、普通はそんな反応になるよな。でも、俺達は全員、親に捨てられたはぐれ者だったり、親が蒸発したりした孤児だったりするんだ。俺と天龍に至ってはお前と同じく瞳の色が左右で違う。行く先々で化物扱いされて石とかを投げられたよ。でも、提督はそんな俺や天龍にも普通に接してくれた。信頼の証として武器もくれた。殺そうとした俺達を、心の底から信頼してくれた。そこまでしてくれる人の為に死ねるなら、本望ってもんだよ」
そう言われ、少女は押黙るしかなかった。
それきり、木曾と響は黙って薪を集め、火を起こして暖を取り始めた。よく考えてみれば、今の季節は秋の終わり頃。風も出てきて少々肌寒くなった為、少女は木曾や響と同じ様に焚き火の近くに寄って行った。木曾と響も、黙って少女の入れる空間を作り、暖を取りつつ志穂達が戻って来るのを待った。
――――――――――――
木曾達が火を起こして約二十分後に信濃達は戻ってきた。二十分程度の時間で、雑魚しか居ないとはいえ、約九万の軍勢をたった三人で壊滅させる実力に脱帽である。
「…………四半刻もしない内に九万の軍勢を壊滅させるなんて。おかしいんじゃないかな?」
「慣れるっきゃ
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