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(仮称)武器の御遣い
第壱章
第四席。法正、名無しの鬼を引き取るとのこと
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да(ダー)。司令官は仲間の事を大切にする人だよ? そんな人が、むざむざ死にに行かせるわけ無いだろう?」
「そう言うことだ。それに、万一の事があっても俺と響が手助けすればいい訳だしな」
「………………随分と、信頼しているんだな」
「当たり前だよ。私達は司令官に出会うまで、十年近く行動を共にしてたんだ。やってた事は山賊紛いの行いばかりだったけどね。で、ある時獲物にしたのが司令官とその部下の志穂さん達だったのが出会いだね。当時は向かうところ敵なしだったから天狗になっててね、実力を測り違えたのさ。で、手を出して返り討ちにあった訳だ。
 想像できるかい? 向こうで天龍達が相手してるような雑兵程度なら少なくと二万は軽く屠れる実力を持った者が三十人。その全員で掛かって遊ばれたんだ」
「………………」


 少女、絶句。
 それもその筈。聞いてもない事をいきなり話し出したのもそうだが、それよりも、二万を相手しても勝てる様な猛者が三十人。軽く見積もって六十万の軍勢に匹敵するであろう集団が勝てないとならば、そうなるのもうなずける。

 そして、響の語りを木曾が継いだ。


「で、何を思ったのか分からないが、提督は俺達の拠点に居座ったんだ。まぁ、自分で言うのもアレなんだが、その時は天狗の鼻をヘシ折られて逆恨みして、荒れてたんだ。で、全員がすっごい罵倒食らわしたわけだよ。思いつく限り、生意気なこと」
「………………」


 口に出さなかったが、少女自身は話の内容を理解できた。自分が木曾達と同じ立場なら、同じ様な事をするかも知れないからだ。


「というわけで、提督が居座った早々思いつく限りの罵詈荘厳を喰らわせた俺達なわけだが、それからどうなったと思う?」
「……あの人が怒ったのかな」
「それが全然なんだよ。あの提督、全く怒らずに俺達の言葉無反応で受け入れてたままだったんだよ」
「……じゃあ何が」
「居座ったその日の夜に――的盧に殺されかけた」
「――へ?」


 木曾が口にした言葉を聞いた途端、思考が停止した。二万程度なら簡単に屠れる実力を持った者が三十人も揃って殺されかけた? あの大きくて怖いけど大人しい狼に? と。


「いや、大変だった。まず俺達が寝入った提督の部屋に忍び込んで殺そうとしたんだ。で、殺そうとした瞬間、的盧が投げ縄を口でして、気付いたら全員捕まっててな。拠点近くにある広場に無理矢理力ずくで引きずられて、縄を解いた途端に途轍もない殺気が的盧から飛ばされて来たんだよ。咄嗟に全員その場を飛び退いたんだが、固まっていた場所に的盧が飛び込んで来て、地面に爪で切り裂いた様な痕が出来ててね。殺気は強いし目は本気で殺す気だったし怖いのなんの。というより、的盧自体超怖い」
「つ、つまり……生意気な態度を
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