第壱章
第四席。法正、名無しの鬼を引き取るとのこと
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それもちょっとやそっとの数ではない。遠目で軽く見積もっても、約五万。それ程の数の賊が居た。
「ッ! あいつら」
『……知ってるのか?』
「うん。二、三日前に同じ様な格好の奴等を屠った覚えがある」
『……成程。……差し詰め、敵討ちと言ったところか。……畜生風情が殊勝な事だ』
慌てた雰囲気の少女とは裏腹に、落ち着いた雰囲気で居る飛鳥達。すると飛鳥は徐に右手を軽く上げ、指を三本伸ばした状態にして賊の方に向けて振り下ろす。
すると――――――
「久々の狩りじゃ」
「狩りじゃー」
「オレ等の提督殿はトキドキカゲキだぜ」
――――――信濃、志穂、天龍の三人が凶悪な笑みを浮かべ、物騒な事を呟きつつ、各々の獲物を手にして賊の群れに走って行った。
その様子を見て、木曾と響は呆れたような表情をし、少女は慌てふためいた。
「…………ハッ! と、止めなくていいんですか木曾さん! 響さん!」
「大丈夫だって。三人とも強いから。それより、今の司令官の手の動き。ちゃんと見たか?」
「え、ハイ。見ましたけど……」
「хорошо。よく見ていたね。存外に君は優秀らしい」
「今のは手信号っ言って、手の動きと形の組み合わせで仲間に指示を伝えるモノだ。因みに、今の手信号は信濃さんと志穂さんが言った通り、《狩れ》って意味だ。全く、幾ら《狩れ》の指示が久しぶりでも、もう少し落ち着けないのかねぇ? 天龍も志穂さんも信濃さんも直ぐに熱くなるんだから。コレなら、長門さんか陸奥さん、龍田、球磨姉さん、多摩姉さん、纏々さん、夕雲さん、紅愛さんの誰かが帰って来るまで待つ様に進言すればよかったかな?」
と、木曾と響は少女に対して、溜息と共に皮肉の混じった説明をした。
しかし、少女は未だ不安を拭い切れないでいた。相手の数は、少なく見ても九万を超えているだろう。対して、向かって行ったのはたったの三人。そんな状況で余り気にするなと言われても土台無理な話である。
「そう慌てるなよ。天龍は仲間内でも大分と古参になる。提督には遠く及ばないが、それでも可也の実力の持ち主だ。志穂さんや信濃さんにしたって、天龍やオレ等には及びもつかない位強い。戦法を間違えなけりゃ、あの程度の連中に負ける事はないさ」
「それに、司令官はあの三人の事を信頼してるから《狩れ》って指示を出したんだよ。あ、三人だけじゃなく仲間の事は皆が互いに信頼しあってるんだけどね。ほら、その証拠と言っていいのかアレだけど、司令官と的盧を見てみな?」
そう言われて、響が指差す方を見る少女。そこには、伏せて目を閉じている的盧と、的盧の腹を枕にして飛鳥が横になっていた。
「………………起こさなくていいの?
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