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(仮称)武器の御遣い
第壱章
第四席。法正、名無しの鬼を引き取るとのこと
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の他この場に居ない者達も、飛鳥様の悪魔的なまでの力に救われたんでござんす。故に飛鳥様の事は慕ってるでやんすし、大好きでござんすよ?」
『……そんなこと言われたら、怒れない』
「フッフー、飛鳥様には怒られたくないでやんすし、怒ってほしくないでござんす。あ、申し遅れたでやんすが、あっしの名は胡烈、字は玄武。外道丸の胡烈で通ってるでござんす。あ、真名は志穂でやんすから、次からは志穂と呼び捨てで呼んで欲しいでござんす」
「……え?」
「私は周 魴 子魚。真名は信濃だ。信濃と呼び捨てで構わん」
「……あのっ」
「私は朱然、字は義封、真名は響だ。宜しくお願いするよ」
「オレの名は歩 ? 子山。真名は天龍だ。まぁ、好きに呼べ」
「俺は李 ? 稚然、真名は木曾だ。宜しく頼む」
『……法正、字は孝直、真名は飛鳥。……好きに呼べ。……名を聞いても?』
「あ、はい。馬良と申します! ……って、ちょ、ちょっと待って下さい! 会ってまだ八半刻も経ってない相手に対して真名まで預ける人が何処に居るんですかッ!?」


 と、驚いた様子で声を荒らげる少女。それもその筈。 真名とは、それを持つ本人が心を許した証として呼ぶことを許す名であり、本人の許可無く真名を呼ぶことは、問答無用で斬られても文句は言えない、本人の魂と同じ位の重さを持つ物である。
 それ程に重いモノを、会って三十分も経ってない相手に許す事等、まずありえない。それがどれだけ変わっているのか。それを少女は言っているのだ。

 が、飛鳥達も、考え無しに真名を許した訳ではない。


「や。お前の言う事も正しいが、私等はお前と似た様な境遇だったって言っただろ?」
「そうでやんすよ。あっし等も、元々アンタと同じ様に、襲ってくる奴を返り討ちにして、その屍から剥ぎ取った武器を使って身を守ってたもんでやんす」
「それに、提督は闇の中から引き上げてくれただけでなく、信頼と共に武器を託してくれた。お前は既に提督から武器を託された。もう俺達とお前は同じ存在だ。なら、真名を預けるのは必定だろう?」
「武器を託された、って。そりゃ、さっき武器を貰ったけど……」


 と、驚愕の表情の百面相をする少女。その少女に対し、飛鳥は優しく、諭す様に声を掛ける


『……ああ。……先にも言った通りの意味で、武器を託している』
「………………」
『……迷惑、だったか?』
「………………」


 刹那。飛鳥が何処からとも無く苦無を幾つか取り出し、投げる。


 ――――キィン、キキィン。

 という子気味良い音と共に、今しがた飛鳥が投げた苦無が地面に突き刺さる。それに遅れて、苦無と同じ数の矢が、地面に落ちた。


 矢羽のある方向を見てみると、それ程遠くない距離に、賊の群れがいた。
 
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